富士通は4月5日、JAグループや農業生産者、農業法人、小売業などの農業分野の業務支援を行うクラウドサービス「F&AGRIPACKシリーズ(エフ アンド アグリパック シリーズ)」を発表。同日より提供を開始した。
同サービスは農業の「経営」「生産」「顧客」の"見える化"の実現を支援するもので、富士通のデータセンターを介してSaaS形式で提供される。
今回発表されたのは、農業独自の会計や給与計算、税務申告といった業務を支援するための「F&AGRIPACK 経営管理」と農産物の生産履歴情報を管理する「F&AGRIPACK 栽培管理」の2つのサービス。
これらのサービスの特徴は以下の通り。
「F&AGRIPACK 経営管理」
会計・給与・税務申告までを一貫して支援
会計・資産・給与の基本業務機能に加え、年末調整・決算申告・経営診断機能が提供される。また、新たな入力や設定をせずに部門損益の管理も可能。PC上に表示される画面で、取引伝票と給与明細に入力するだけで仕訳や源泉徴収の管理までを行える。会計に関する高度な専門知識が不要
PCの画面に表示される入出荷伝票の取引区分を選択するだけで伝票の仕訳を行えるため、会計に関する高度な専門知識が不要。日常の業務イメージで作業可能な発生主義での入力によって、自動的に決済伝票も作成される。また、法人税申告書、消費税申告書も作成可能。農業独自の制度に対応した管理
従事分量配当に対応した消費税の計算を自動で行える。農業経営基盤強化準備金の積立限度額の自動計算や自動仕訳にも対応。
「F&AGRIPACK 栽培管理」
記帳連動による定着化の支援
手書きの記帳シートをOCRで読み込むことによって、容易に生産管理の記帳を行える。記帳シートの保管の効率化や点検作業負荷の軽減も図れる。農産物の安全性の確保
法制度に対応した農薬使用基準照合機能によって、農産物の安全性を確保し、品質トラブルを未然に防止できる。農業法人の経営安定化を支援
生産履歴情報を基に、農産物の品質向上や生産の平準化・促進を図れる。情報提供による早期の病害対策も実現可能で、農業法人の経営安定化を支援。
「F&AGRIPACK 経営管理」には「税理士連携モデル(税理士向け)」(販売価格 20万円/年)と「一般モデル(法人向け)」(同 15万円/年)の2種類が用意されており(価格はいずれも税別。JAや農業法人など、1団体あたりでの販売価格)、前者のサービス利用契約は富士通と税理士が行うことになる。
「F&AGRIPACK 栽培管理」には「生産履歴基本サービス」(同 140万円/年)と「GAP(Good Agricultural Practice)運用支援サービス」(同 40万円/年)の2種類がある。
富士通はこれらのサービスの販売目標について、「F&AGRIPACK 経営管理」は今後3年間で「税理士向け」で30件、「法人向け」で1,200件、「F&AGRIPACK 栽培管理」は今後3年間で48団体との契約を目指すという。また、同社は今後、農作業工程管理、圃場(ほじょう)管理などに向けたSaaS型サービスも順次提供していくとしている。