欧州地域におけるGoogleへの逆風が強まっている。欧州委員会がGoogleに対する独占禁止法違反調査の可能性を明らかにしたほか、イタリアではユーザーのプライバシー侵害で3人のGoogle幹部が有罪判決を受けた。

欧州委員会は24日(英国時間)、欧州企業3社からGoogleの欧州競争法違反を指摘する苦情を受けたことを同社に通知し、コメントを求めたことを明らかにした。独占禁止法違反の公式調査段階ではないものの「委員会は加盟国の競争機関と連携する」としている。

これに対してGoogleは同日に、European Public Plicyブログを通じて声明を発表した。「われわれの事業は欧州競争法に従って、ユーザーやパートナーに利益をもたらすように運営されている」と主張。その上で逆に、欧州企業による苦情申し立てこそユーザーの利益に根ざしていない可能性を指摘している。同社によると3社は、英国の価格比較サイト「Foundem」、フランスの法律関連の検索エンジン「ejustice.fr」、ドイツの価格比較サイト「Ciao!」である。このうちFoundemはMicrosoftが支援するイニシアチブICOMPに加盟している。またCiao!は以前AdSenseパートナーだったが、2008年にMicrosoftに買収され、それからGoogleの契約条件に苦情を訴えるようになったという。

Googleが示唆するように、今回の苦情申し立ての背後にはMicrosoftとのライバル関係の影響がちらつく。だが、欧州の検索広告市場においてGoogleは米国市場よりも大きなシェアを握っており、これまでに何度も規制機関の関心の高まりが報じられてきた。これが公式調査へのきっかけとなる可能性は十分にある。

ホスティングサービスに、いじめ動画公開の刑事責任

イタリアでの訴訟は、ダウン症を持つ17歳を複数の高校生がからかう映像がGoogle Videoにアップロードされ、しばらく公開状態になっていた問題の責任が問われていた。ミラノの裁判所はプライバシー法に従っていなかったとして、Google社員4人のうち3人を有罪とした。

米国同様、イタリアでもオンラインサービスプロバイダはアップロードされるサードパーティのコンテンツを事前にモニターする必要はない。コンテンツの違法性や問題の通報を受けた時にすみやかに削除する責任を負う。Googleは問題のビデオを通報から24時間以内に削除していた。 同社は「この判決は本質的に、ユーザーがアップロードしたコンテンツについて、Google Videoのようなホスティング・プラットフォームの社員に刑事責任があることを意味する」と指摘。また「インターネットの基盤である自由の原則に対する攻撃である」として、判決の見直しを断固要求する意向を示している。

Googleが主張するように、イタリアでの判決は今日認められているWebサービスの根本に違う見方であり、これが認められればGoogleの事業の根本もゆるがされる。