CEOとしてはじめて公の場に姿を現したEricssonのHans Vesberg氏

スウェーデンEricssonは2月15日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開幕した「Mobile World Congress 2010」でプレス発表会を開いた。1月にCEOに就任したHans Vesberg氏が登場し、モバイル業界のトレンドや動向、同社の戦略について語った。

MWC恒例となった初日のEricssonカンファレンスは、通信機器最大手のEricssonが業界動向について説明する重要なキックオフとなる。Vesberg氏はこの日初めてCEOとしてMWCに登場した。

Vesberg氏はまず、増加の一途をたどる通信サービスについていくつかの数値を出した。この10年でモバイル契約は6倍の46億、ブロードバンドは約5億に達しつつある。ユーザーは複数台の端末を持ち歩くため今後5年で契約数は70億に、ブロードバンドは30億と予想する。「2015年には500億台の端末がインターネットに接続する」とVesberg氏。

Ericssonの戦略についてVesberg氏は、技術リーダーシップと品質、オペレータとの長期的関係、ヘルスケアなどさまざまな業界でモバイル技術を活用したソリューションの提供、標準化作業への積極的参加、などを挙げた。

技術では、LTEで2009年12月にスウェーデンでTeliaSoneraとともに初の商用サービスをスタートさせている。AT&Tからの受注を2月13日に発表しており、これまでにLTEの商用契約を4件獲得しているという。Ericssonは会期中、下りの伝送速度が最高1GbpsのLTE-Advanced(4G)のデモ、最大で84Mbpsという世界最速のHSPAなどをデモする。

なお、AT&TはVerizon Wirelessに次ぐ契約となり、カナダNortelの一部資産買収などを通じて北米事業を急速に強化している点にも触れた。

Vesberg氏によると、Ericssonは2009年、3G関連の売上高が初めて2Gを超えたという。オペレータの3Gから4Gへのアップグレードについては、「2Gから3Gのときと比較すると短いのではないか」と述べたが、「それでもしばらくの間は3Gが独占的な技術になる」とした。

オペレータとの関係では、マネージドサービスを挙げた。現在Ericssonは契約数にして20億の技術サポートを提供しているという。データトラフィックの急増と価格の低下など、オペレータを取り巻く環境は厳しい。今後は単なるサポートから「"ビジネスエネーブラー"として顧客の成功を支援していく」とVesberg氏。

そのひとつとして、Ericssonは同日、アプリケーションストア「eStore」を発表した。オペレータ向けのアプリケーションストアで、ノルウェーOpera Softwareと提携、Operaのウィジェット技術などを利用する。エンドユーザーは端末を問わずにアプリケーションをダウンロードして利用できるという。すでに3万以上のアプリケーションが用意されているという。

今後の見通しについて、具体的な数値については口が重かったVesberg氏だが、スマートフォンブームなどを受け「モバイル業界は堅牢に成長する」と述べた。