オンラインストレージってどんなもの?

オンラインストレージの利用を考え中? 今回はリコーの「quanp」を紹介

昨年、テレビや新聞などでも注目されたIT用語に"クラウドコンピューティング"という言葉がある。インターネット上に置かれたデータやアプリケーションを、場所やデバイスにとらわれずどこからでも利用するという概念のものだ。そうしたサービスのひとつに"オンラインストレージ"サービスがある。そろそろ利用を考えている人もいるだろう。

オンラインストレージとは、その名の通りオンラインで利用するストレージ(記憶装置)。文書ファイルやデジカメ写真などをインターネット上のサーバに保存しておき、いつでもネット経由で利用できるようにしようというサービスだ。職場PCや自宅PCで仕事データを共有する、メールに添付できない大きなデータを送る、記憶容量が少ないネットブックの外部記憶装置にするなど、さまざまな目的で活用することができる。

データの受け渡しや持ち運びであれば「USBメモリで十分」という人も多いだろう。ただ、どんなに大事に扱ってもUSBメモリを紛失するケースは後を絶たない。その点、オンラインストレージなら、大事なデータを物理的に持ち歩くというリスクは回避できる。しかしそれだけに、データの預け先となるサービスの信頼性が重要だ。オンラインストレージは利便性や作業効率の向上に有効だが、サービスを選ぶ際は、容量や機能だけでなく、長期間安定して使い続けられる信頼性も考慮したい。

今回は、リコーが提供するオンラインストレージサービス『quanp(クオンプ)』を紹介する。容量10GB/月額300円の「スタンダードコース」を前提に、オンラインストレージの利便性を説明しよう。

リコー「quanp」でオンラインストレージをはじめる

オンラインストレージというと、Webブラウザから利用するタイプが多いが、quanpはWebブラウザや携帯電話からだけでなく、専用クライアントソフト『quanp.on』からも利用できる。これにより、グラフィカルな操作画面やドラッグ&ドロップによるファイルアップロードなど直感的な使い勝手を実現している。

quanpの専用クライアントソフト「quanp.on」の入り口となるプレイスマップ。Windows XP SP2/ Vista/ 7対応

では、実際にquanp.onの画面を見てみよう。ログインすると「プレイスマップ」の画面が表示される。「プレイス」はフォルダに相当するもので、ここにデータを保存していく。各プレイスには「書類」「写真」「バックアップ」などファイルの種類や目的ごとに名前をつけておくと使いやすい。ユニークな点は、プレイス内のファイルが3D空間に浮かんでいるような独特のビジュアルで表示されるところだ。

3Dビューの角度は"ANGLEスライダー"で変更が可能。下部のボタンで上下左右のプレイスに移動できる

プレイスのプロパティでタグを設定したり、アイコンや背景のカスタマイズも可能だ

プレイスは他のユーザーと共有したり、特定のローカルフォルダを自動で同期することもできる

quanpにファイルを保管する方法は簡単だ。メニューなどからアップロード用ダイアログを開いてファイルを選択するだけ。quanp.onにファイルをドラッグ&ドロップする方法にも対応している。逆にプレイスからデスクトップへドラッグ&ドロップでダウンロードすることも可能だ。

アップロード時のオプションでプレビューを見ながら不要なファイルを外したり、タグの設定等が可能

quanpに保存したファイルはサムネイル形式で一覧できるほか、全画面表示でのプレビューに対応している。たとえば、Microsoft Office文書ファイルやPDFもそのままquanp.on上で内容を確認できる。ファイルを整理する場合は、プレイスでの分類だけでなく、タグを利用すると参照性がよくなる。分類がニガテな人は、ファイル内の記述を検索する"全文検索"機能が頼りになるだろう。

PowerPointがインストールされていないPCでも、PPTファイルを全ページ閲覧できる

プレビューだけでは見分けにくい文書ファイルも全文検索で探し出せる

同僚や取引き先にもファイルを公開したい

オンラインストレージの便利な機能といえば、"共有"だ。社外との仕事用文書の回覧や、仲間内での旅行写真の共有などに使うもの。quanpでもスタンダードコース以上で共有機能が使える。プレイスに他のquanpユーザーを招待する機能で、複数のファイルや大容量データの配布に便利だ。コメント機能もあるので、ちょっとした連絡を添えておくと、やりとりもスムーズになるだろう。

Webブラウザ版の「quanp.net」。Windows以外でも利用できるため、活用しているユーザーは多いようだ

プレイスの招待機能で共有する場合、相手もquanpユーザーになる必要がある。ファイルの配布相手にユーザー登録を強いるのはちょっと……という場合は、Webブラウザ版『quanp.net』のファイル送信機能を使うとよいだろう。送り先のメールアドレスを指定すると、相手にダウンロードURLが通知されるようになっている。一般的なファイル転送サービスと同じ仕組みだ。

なお、quanp.netのインタフェースは、quanp.onとは対照的に極めてシンプル。プレイスやファイルの表示スタイルはリスト形式で、ドラッグ&ドロップ操作などはできないが、基本的な機能はquanp.onと大差はない。むしろ、Mac OS環境やquanp.onを導入できない環境でも利用できるという点で、quanp.on以上に使い勝手のよい存在となっている。実際にWebブラウザ版の利用者は多いようだ。

有料コースなら一度に最大20人まで送信が可能。送信履歴も確認できる

携帯電話からも利用できるの?

外出時のファイルビューアとしても活用できる「quanp.mobile」。有料コースでのみ利用可能だ

オンラインストレージを選ぶうえでポイントにしたいのが、携帯電話への対応状況だ。quanpでは、モバイル版『quanp.mobile』を提供しており、パソコンを利用できない移動中でも、携帯電話を使ってquanp上のファイルを確認できる。PowerPointなどMS Office文書ファイル、PDFといった各種データを携帯電話で閲覧できるのは便利だ。表示サイズも文字が見える程度にまで拡大できる。quanp.netと同様にファイル送信も可能なので、出先から急ぎでファイルを送らなくてはいけないときにも役立つだろう。

携帯電話からquanpにファイルをアップロードすることもできる。ユーザーごとに発行される指定アドレスにファイルを送るだけだ。たとえば、携帯カメラで写真を撮ったら、メールに添付してアップロード、という使い方が可能。メールに添付できるファイルであれば、動画でも音声でも扱える。

「メールアップロードの設定」のページで専用メールアドレスを発行する。アップロード先は「Home」プレイス

かゆいところに手が届くサポートツールたち

quanpをオンラインストレージとして日常的に使ううえで、ユーザーの手間を省くツールが用意されている。

たとえば、アップロード手順をもっと簡略にしたいなら、デスクトップウィジェット『quanp drop』がある。quanpの"窓口"として機能し、これをデスクトップ上に置いておくと、ファイルを放り込むだけでアップロードできるようになる。Adobe AIRアプリなので、WindowsでもMacでも利用できる。手軽なバックアップツールを求めている人は、"quanp.net+quanp drop"という組み合わせは便利だろう。

遊び心のあるデザインが全10種類で、ファイルをアップロード中の視覚効果も楽しめる

Microsoft Officeを頻繁に使うユーザーなら、『quanp Add-in』を使ってみてほしい。Word/ Excel/ PowerPointなどのツールバーにquanpとの連動ボタンが追加され、編集中のファイルを直接アップロード(保存)したり、quanp上のファイルを開いて編集したりすることが可能になる。ビジネスシーンで活用できそうだ。この機能は、Microsoft Office 2003/ 2007に対応している。

専用ボタンからワンクリックでファイルをアップロードできる

遊び心もあるオンラインストレージ

quanpはビジュアル要素の強いUIで知られるが、Webブラウザ版や携帯電話版なども用意され、シーンに合わせて柔軟に活用できるようになっている。サポートツールの中には、quanpに預けた写真をデスクトップ上でフォトフレーム風に表示する『quanp slideshow』もある。たとえば、仕事中に子どもの写真を眺めて一息──という使い方もいいかもしれない。利便性だけでなく、ちょっとした遊び心もあるquanp。これからオンラインストレージを使い始める人にオススメしたい。

「quanp」無料お試しコースもいかが?

quanpには、今回紹介したスタンダードコースのほかに、最上位版にあたる「クオンタムコース」(100GB・980円/月)、1GBまでの容量を無料で利用できる「トライアルコース」も用意されています。初めてオンラインストレージを使うという方は、いちど無料版で試してみてはいかがでしょうか。なお、職場でオンラインストレージを利用する場合は、社内規定などを確認のうえご利用いただくようお願いいたします。