日本オラクルは10月28日、サプライチェーンにおける供給計画を高速シミュレーションするための製品「Oracle Rapid Planning」を発表した。同製品は、サプライチェーン計画における変更に対し迅速に対応することを可能にする。

具体的には、確定したサプライチェーン計画に対して、突発的に注文内容・設計・品質問題による部品調達などの変更が発生した際、複数条件に基づいた仮説検 証(what if シナリオ分析)を実現し、供給計画の変更による結果を数分で検証する。オンメモリ処理によるエンジンを装備しているため、処理は高速である。

日本オラクル 常務執行役員兼アプリケーション事業統括本部長 保々雅世氏

また、同社のERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」、中堅企業向け業務アプリケーション「JD Edwards EnterpriseOne」、「Oracle Advanced Planning Command Center」、「Oracle Advanced Supply Chain Planning」、「Oracle Demantra」など、他のサプライチェーン計画製品と連携できるよう、データモデルを共有している。そのため、検証結果に基づく意思決定をサプライチェーン計画全体に反映することが可能だ。

常務執行役員兼アプリケーション事業統括本部長を務める保々雅世氏は、「これからのサプライチェーンは、需要と供給と開発の各チェーンの統合を図っていくという方向性にある。そのため、当社でも各チェーンに対して製品を提供している。今回発表した"Rapid Planning"は供給を担う製品」と説明した。

日本オラクルが提供するサプライチェーンのための製品群

リアルタイムの需要予測をはじめとする需要のマネジメントは「Demantra Demand Management」で行い、同製品とOracle Rapid Planningでシミュレーションした結果は、販売・オペレーション計画をリアルタイムで行う「Demantra Real-Time Sales & Operations Planning」に反映できる。これにより、需要と供給の計画をインタラクティブかつ同時に行える販売・オペレーションのフローが実現される。

日本オラクルが実現するスピーディーな販売・オペレーションのシミュレーション

日本オラクル アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクター 岡田行秀氏

アプリケーション事業統括本部 SCM/PLM本部 ソリューション1部 シニアディレクターを務める岡田行秀氏は、「サプライチェーンに対する要求は厳しさを増す一方である。例えば、デジタル家電市場は、これまでは寿命が半年程度だったのが、今では1ヵ月から3ヵ月に短縮されている。当然、製品を企画してから販売を終了するまでの期間も短くなっており、サプライチェーンの改革が求められている。それにこたえるのが、Oracle Rapid Planningだ」と述べた。

Oracle Rapid Planningは自社開発であるのも特徴の1つである。保々氏は、「オラクルは買収によって製品のラインアップを強化しているというイメージが強いかもしれないが、決してそんなことはない。Oracle Rapid Planningは数年にわたって自社で開発を行ってきた製品であり、当社がきちんと開発に投資していることの表れと言える」と、同社の製品開発に対する姿勢をアピールした。

同製品はシミュレーションのデータモデルから構成され、価格は最小構成で約3,000万円から、提供は11月中旬から開始される予定だ。