日本ユニシス ICTサービス本部 副本部長 庭山宣幸氏 |
日本ユニシスは10月7日、同社が提供するクラウド型iDC(Internet Data Center)基盤を強化し、5つの新サービスを開始することを発表した。
発表を行った日本ユニシス ICTサービス本部 副本部長 庭山宣幸氏は、同社が昨年10月からパブリック型のクラウドサービスを提供していることに触れたうえで、「最近では企業システムの延長としてクラウドサービスを使用したいというニーズが高まってきている」と説明。そのような用途のクラウドサービスを「エンタープライズクラウド」と定義し、そこに求められる具体的なニーズとして、次の5つがあることを紹介した。
- 高速回線: 近隣から、より高速ネットワークでクラウドを利用したい
- ローカルIP: 自社ネットワーク環境のままクラウドを利用したい
- 移行設備: 大量データなどを含むシステム移行をスムーズに行いたい
- ストレージの多様性: 高速トランザクション向け、大容量安価、Write Once、暗号化など、多用途のストレージを用意してほしい
- 時間課金: CPUを使ったときだけ課金してほしい
こうしたニーズに応えるべく、日本ユニシスでは、クラウド型iDC基盤の強化をネットワークとストレージの両面で実施。ネットワークでは、これまで東京にしか存在しなかったiDCを北海道と大阪にも新設。各拠点を高速回線でつないでシームレスに連携できるようにし、外部からはあたかも1つのiDCであるかのように見える「Inter iDC」を構築した。
一方で、ストレージシステムにも改善を加えており、各企業のデータに暗号化処理を施し、それを3分割したうえで3拠点に分散して格納できる「秘密分散」機能を搭載。東京、北海道、大阪のいずれかのiDCが稼働でいない状況に陥っても、他の2拠点のデータを使って復元できる環境を整え、災害時の対策として組み込んでいる。そのほか、SSDのようなドライブを使って高速データ処理(バッチ処理)を実行できる環境や、書き込み処理を最初の一度しか許さない「WORM(Write Once Read Many)」環境なども設置。多様なニーズに応えられる仕組みをそろえた。
以上の技術を活用した新サービスとして、日本ユニシスでは次の5つのサービスを提供する。
- エンタープライズクラウド: プライベートクラウドのような環境を同社のiDC上に構築するサービス。NAT(Network Address Translation)等を設置することなく企業内ネットワークとの直接接続ができ、ユーザー認証処理やアプリケーションの変更が不要といった特長がある。11月1日より販売開始
- WANアクセスパッケージ: 専用回線をひいて日本ユニシスのiDCを利用する場合に、回線とネットワーク機器をセットで提供するサービス。回線は、100Mbps、10Mbps、共用ブロードバンド回線から選択できる。10月13日より販売開始
- Inter iDCを利用したストレージクラウド: 前掲の秘密分散機能による「真性乱数を使用した秘密分散データストアサービス」や、高速データ処理環境を活用した「超高速データストアサービス」、WORM環境を活用した「1度書き込みを行うと消去、変更ができないWORMデータストアサービス」などを順次提供していく予定
- ICTホスティングサービス CT(Count By Times): CPU使用率と使用時間で利用料が決まる、ホスティングの従量課金サービス。11月1日より販売開始
- ICTサービスカフェテリア: Inter iDCに直結する専用PCを東京、大阪、名古屋、福岡のサービスセンタに設置する。これは、大量データの移行作業やシステム切り替え作業、検証作業向けのもので、インターネット経由以外の接続方法として利用することができる
同サービスに関する今後のロードマップは以下のスライドのとおり。
日本ユニシスでは、これらのサービスをはじめとするクラウドサービスにより、2012年3月期までに700億円という売上目標を掲げている。