企業向け人材育成支援サービス「イーキューブ」を提供するNTTレゾナントは9月9日、国内の株式公開・非公開企業167社(有効回答者数)の人事・人材育成部門の管理職以上を対象に行った「企業における人材育成の実態調査」の結果を発表した。

同調査によると、人材開発予算については「減少傾向(44.7%)」の回答が最も多かった。昨年度との比較では「減少傾向」の回答は14.6%から44.7%に増加している。直近1年間の売上高成長率が「0%未満」と回答した企業が59.7%であるにもかかわらず、人材開発の予算を「減少傾向」と回答した企業は44.7%と、売上高成長率が「0%未満」と回答した企業よりも少なかった。

これより同社では、企業の成長が停滞・後退するなかでも、業績向上に向けて人材育成への取り組みを維持・継続したいとする企業・経営者の姿勢がわかると分析している。

人材の増減傾向は、昨年度の調査に比べて「増加傾向」の回答が減っており、昨秋からの景気後退の影響がうかがえるとしている。経営課題の解決に関して重要性が高まる人材は、部門では「営業・企画部門」、階層では「中堅層」の重要度が高まるという回答が多い。景気後退の影響から、企業の業績向上に結び付くと思われる人材を重要視していると、同社では見ている。

人材の増減傾向 資料:NTTレゾナント

今後3年~5年で重要性が高まると考えられる人材階層 資料:NTTレゾナント

また、人材育成に関する現場の期待は、 「実務に即した研修内容」、 「効果がすぐに現れる研修内容」、「業務ニーズにあったカリキュラム体系)」の順で回答数が多かった。昨年度の調査と比較すると、人材育成に対する現場の期待は「効果がすぐ表れる研修」の順位が昨年の4位から2位に上昇し、「社員の中長期的なキャリア開発」が3位から5位に下降した。

これより同社では、景況の悪化を受けて人材育成に対して「即効性」を求める傾向が強まっていると考られるとしている。