エンバカデロ・テクノロジーズは8月25日、統合開発環境「Delphi 2010」、「C++Builder 2010」、「Delphi Prism 2010」、およびこれら3製品を統合したスイート製品「Embarcadero RAD Studio 2010」を世界同時に提供開始したことを発表した。4製品はタッチ機能のサポートが追加されている。
カントリーマネージャー(日本法人代表)を務める藤井等氏は、今回リリースした製品の特徴として、「タッチコンピューティングのサポート」、「多様なデータコネクティビティのサポート」、「開発者の生産性のさらなる向上」の3点を挙げた。
同氏は、「電子デバイスに対する入力方法として、マルチタッチやジェスチャーによる操作などのナチュラルインプットが増えてきている。キーボードとマウスではナチュラルインプットに対応できないため、ハードウェア側では新たな機能が搭載されつつあるが、ソフトウェアはエミュレーションで追随しているのみだ。こうした状況に対応すべく、今回タッチ機能をサポートした」と説明した。
4製品はタッチ機能として、「ベーシックタッチ」、「マルチタッチ」、「ジェスチャー」に対応している。マルチタッチはWindows 7対象となるが、その他の2つの機能はWindows 2000/XP/Vistaといった複数のOSでの動作をサポートしている。標準で30以上のジェスチャーに対応しており、任意のジェスチャーを作成することもできる。
データベースアクセスの強化としては、オープンソースのデータベースであるFirebirdのサポートが追加されたほか、Microsoft SQL Server、Oracle、MySQLなどのデータベースドライバがアップデートされている。加えて、多層フレームワーク「DataSnap」の機能が強化され、他のサービスとの相互運用性を提供するJSON、RESTを含む業界標準通信プロトコルによる広範なデータアクセスが可能になった。
開発者の生産性を向上するための機能として、IDEの機能や設定、コンポーネント、ファイルなどに シンプルなキー操作でアクセスできる「IDEインサイト」が新たに追加されたほか、コード整形、C++クラスエクスプローラー、デバッガの機能が強化されている。
エヴァンジェリストを務める高橋智宏氏からは、タッチ機能を装備したアプリケーションの開発、SOA対応のデモンストレーションが披露された。
タッチ機能のデモは、フォーム上のグラフィック領域でジェスチャーとしてマウス操作を追加するというものだった。IDEインサイトから、Graphics Managerを追加してジェスチャーを関連付け、さらにGraphicsManagerとActionManagerを関連付けることで、作業は完了した。カスタムジェスチャデザイナで任意のジェスチャーを開発する手順も示された。
Delphi 2010とC++Builder 2010とEmbarcadero RAD Studio 2010はいずれもパッケージ版とダウンロード版があり、さらにそれぞれ新規購入版とバージョンアップ版がある(パッケージ版の出荷は9月開始予定)。Delphi Prism 2010はダウンロード版のみとなっている。
Delphi 2010とC++Builder 2010の新規購入価格はパッケージ版が10万2,900円から、ダウンロード版が9万8,700円から。Embarcadero RAD Studio 2010の価格はパッケージ版が17万6,400円から、ダウンロード版が17万2,200円から。Delphi Prism 2010の価格は6万3,000円から。いずれも税込。