8月17日に英語版ページで300万個目の記事が作成されたばかりのWikipediaだが、このマイルストーン達成を期に1つ運用上の大きな変更が加えられる見込みだ。運営母体であるNPOの米Wikimedia Foundationによれば、数週間内にも人物に関しての記事の公開が承認制とし、ボランティアで活動するエディターのレビューなしでは変更内容が反映されなくなるという。米New York Timesなど複数のメディアが8月24日(現地時間)に報じている。

新機能の名称は「flagged revision」と呼ばれ、すでにドイツ語版Wikipediaに昨年時点で導入済みという。ここでの実績を鑑みて、Wikimedia Foundationの運営チームは現在アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されているWikimania 2009でエディターらを交えて討論を行っており、その結果、英語版での導入に向けて準備を開始したという。

Wikipediaではしばしば誤記や悪意のある第三者による誹謗中傷、オンライン百科事典の範ちゅうを逸脱した編集などが見受けられ、時にはそれが理由で裁判沙汰に発展するケースもある。こうした行為を未然に防ぎ、エディターらの作業負担を緩和する緩衝地帯を設けるのが狙いだ。有名人に対する誹謗中傷やイタズラ書きなどは日常茶飯事だが、以前のNew York Times記者の誘拐事件におけるWikipediaの編集合戦のように命に直結する問題もあり、こうした制度の導入はある意味で必要不可欠なのかもしれない。