Open IPTV Forum会長のYun Chao Hu氏

欧州におけるインターネット、電話、TVのトリプルプレイのヒットが契機となり、IPTVが世界的普及に向かいつつある。IPTVマス時代に向け、IPTVのオープン化、標準化を目的とした業界団体がOpen IPTV Forum(OIPF)だ。

6月24日、スウェーデンEricssonの本社で開催された「Ericsson Business Innovation Forum 2009」にて、OIPF会長を務めるYun Chao Hu氏がOIPFの取り組みや狙いについて語った。

Hu氏はまず、OIPFの狙いについて標準化と発展の2つの面から説明する。IPTVが登場して数年、受け入れが進んでいるがプロプライエタリなソリューションも多い。OIPFでは「さまざまな技術を結びつける共通の技術セットを策定することで、相互運用性を実現する」とHu氏。特徴はエンドツーエンド。IMS(IP Multimedia Subsystem)、DLNA(Digital Living Network Alliance)をベースに、IPTV、サービスレイヤ、IMS、トランスポート、CPEと包括的にカバーしていくという。これにより、さまざまな業界が参加でき、「IPTVを次の段階に発展できる」とHu氏は期待を寄せる。

「IPTVのマスマーケットが期待されているが、それには標準化が不可欠」とHu氏は語る。

2007年3月に8社でスタートしたOIPFは現在、56社が参加する業界団体に発展している。オペレータ、端末メーカー、インフラベンダ、コンテンツプロバイダ、技術プロバイダとさまざまな分野から参加しており、要求、アーキテクチャ、ソリューション仕様、相互運用性/テスト、マーケティングの各作業部会単位で取り組みを進めている。

最初の仕様「Release 1」は、要求、アーキテクチャ、ソリューション仕様の策定が完了しており、現在相互運用性とプロファイリングの作業中という。正式な完成は8月を予定している。

Release 1は固定ベースでのIPTVサービスを想定したもので、電話がかかってきたらポップアップで受信を知らせる機能などがある。タイムシフト機能により、ユーザーが通話を開始すると番組を中断、通話終了後再開することができる。

OIPFではRelease 1と同時に、端末のサポート、パーソナライズ、パレンタルコントロール、リモート端末への通知などの機能を盛り込んだ「Release 2」の作業も進めており、要求、アーキテクチャの作業を8月に終わらせ、ソリューション仕様を固めていくという。

相互運用性の取り組みの1つに、OIPF仕様をサポートした端末の検証作業を開始する計画がある。2009年末 - 2010年初めにIPTV Plugfestsに参加するほか、Release 1実装の相互運用性検証も検討しているという。「今後OIPFをサポートしたIPTVデバイスを小売で活気づけていきたい」と述べ、マス市場に向けた意気込みを見せた。

複数のサービスモデルをサポートする単一アーキテクチャによりIPTV標準化を図る

EricssonでIPTVソリューショントップを務めるLeif Bjorklund氏

IPTVなどTV関連事業は、通信が融合した時代に向けてEricssonがこのところ重点的に取り組んでいる分野だ。この分野で、は2007年、Tandberg Televisionを買収しており、圧縮、コンテンツ管理/ビデオオンデマンド、IPTV、広告などの技術を放送事業者や通信事業者に提供するという。EricssonでIPTVチームを率いるLeif Bjorklund氏によると、すでに225社以上のIPTV実装を手がけており、IPTVヘッドエンドでのシェアは40%という。

会期中、デモエリアでは、子会社のSony Ericssonの携帯電話、ソニーのゲーム機などをDLNAで相互接続し、ビデオオンデマンドやタイムシフトを操作するデモも披露していた。