シトリックス・システムズ・ジャパン(以下、シトリックス)は、ハードウェアアプライアンス製品「Citrix NetScaler MPXシリーズ」に、「Citrix NetScaler MPX 9500」「Citrix NetScaler MPX 7500」「Citrix NetScaler MPX 5500」3製品を追加すると発表した。

また、仮想化環境であるXen Server上で動作する、ソフトウェアベースの仮想アプライアンス「Citrix NetScaler VPX」もあわせて発表した。

NetScalerはWebアプリケーションの最適化やセキュリティを実現する1Uのアプライアンス。負荷分散装置、アプリケーションファイアウォール、SSL VPNゲートウェイなどの複数の機能を1台に統合している。

「Citrix NetScaler MPX 5500」(下)と「Citrix NetScaler MPX 7500」(上)。9500の筐体は7500と同一

NetScaler MPXはこれまでサービスプロバイダやクラウド事業者など、超大規模ユーザー向けが中心であったが、今回新たに発表された9500、7500、5500は、中小から大企業をカバーする、NetScalerのラインナップの下位に位置づけられる商品となっている。

NetScaler MPXシリーズにおける、新製品の位置づけ

「Citrix NetScaler MPX 9500」「Citrix NetScaler MPX 7500」は中規模から大企業向け、「Citrix NetScaler MPX 5500」は、同社初の中小企業向けの製品となる。

ビジネスディベロップメント シニアマネージャー 村上慎一氏

ビジネスディベロップメント シニアマネージャー 村上慎一氏は、「最近は中小企業においても、アプリケーションのWeb化が進んでおり、双方向通信やセッション維持など、アプリケーションの複雑性が増しており、アプリケーションデリバリー製品を必要とする状況になっている」と、今回のラインナップ拡張の理由を説明する。

Citrix NetScaler MPX 5500は、デュアルコアの1.86GHzのプロセッサ、4GBのメモリ、1Gbps対応ポート4個を搭載し、L7で0.5Gbpsのスループットを発揮。

Citrix NetScaler MPX 7500/9500は、デュアルコアの2.33GHzのプロセッサ、8GBのメモリ、1Gbps対応ポート8個を搭載し、L7スループットは、7500が1Gbps、9500で2Gbpsとなっている。いずれも、マルチコアプロセッサ対応のnCore技術を採用し、複数の機能を同時に実行できる。

Citrix NetScaler MPX 5500の税抜き希望小売価格は198万円から、Citrix NetScaler MPX 7500の税抜き希望小売価格は363万円からで、6月8日より販売パートナーを通じて出荷される。Citrix NetScaler MPX 9500は2009年第3四半期に受注が開始される予定だ。

3つの新製品のハードウェア諸元

NetScaler MPXシリーズの仕様

一方、「Citrix NetScaler VPX」は同社初のソフトウェアベースの仮想アプライアンスで、Xen Serverの1つのゲストOSとして動作する。NetScaler MPXのほとんどの機能を搭載し、NetScaler MPXと組み合わせ、ファブリックを構築して利用することを想定している。

Citrix NetScaler VPXはXen Serverの1つのゲストOSとして動作

例えば、NetScaler VPXを各Webアプリケーションの直近に配置し、アプリケーションごとの要件に合わせたセキュリティ保護や高度なトラフィック管理などのきめ細やかなアプリケーションデリバリーを行い、NetScaler MPXアプライアンスがSSL暗号化やDoS攻撃の防御、複数のデータセンター環境で行うグローバル負荷分散などのネットワーク規模の処理を行う2階層構造などだ。

NetScaler MPXと組み合わせ、ファブリックを構築

また、中小企業向けに、マイクロソフトのSharePointなど、汎用的なアプリケーションにはテンプレートが用意され、それらをインポートするだけで設定が行えるよう、簡単な導入をサポートしている。

NetScaler VPXの設定ウィザード

製品は、2009年第3四半期に提供される予定で。現在はテックプレビュー版(ベータ版)が同社の米国サイトからダウンロード可能になっている。価格は現在のところ未定だ。