日本ヒューレット・パッカードは5月18日、同社が提供するブレードサーバを中心としたハードウェアソリューションを顧客が体感できる「HP 実機体感センター」を東京・市ヶ谷本社に開設した。とくに導入企業の情シス担当者が実機に触れることで、他社製品とHP製品、またはエントリモデルとハイエンドモデル、x86とUNIXサーバなどの差異を実感してもらうことを目的とする。「IT投資の各コンポーネントの透明化がますます問われる時代。たとえクラウドコンピューティングを利用する場合であっても、情シス担当者は、どのパーツにいくらかかるのかを、正確に把握する必要がある。この施設を通してHPがそのお手伝いをしていきたい」と日本HP 執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏は開設にあたって抱負を語る。

「HP 実機体感センター」開設記念のテープカットを行った日本HPのサーバ事業のエグゼクティブ。左から、橘一徳氏(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 本部長)、富岡徹郎氏(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 本部長)、山口浩直氏(執行役員 ESSプリセールス統括本部 統括本部長)、松本芳武氏、上原宏氏(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長)、浅野勉氏(エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 NonStopサーバ事業部長)

同施設は、マシンルーム1室、デミナー(セミナー+デモ)ルーム3室で構成される。面積は230平方メートル。収容人数は3部屋同時で最大54名。顧客への説明を行うのは、どんな質問にもすぐに回答できる、その製品に精通した製品担当の専門エンジニアだ。

マシンルームに設置されるラック本数は27本、設置サーバ台数は100台を超える。主な常設機器としては、HP Integrity、HP Nonstop、HP ProLiantといったエンタープライズサーバ、ブレードサーバのエンクロージャ、ストレージ(HP StorageWorks)、ネットワークスイッチ(HP ProCurve)など販売中の同社主要ハードウェアのほか、CiscoやNEC、IBMといった他社の製品も並んでいる。「HPの製品ごとの違いはもちろん、他社製品とも比較してもらい、製品の特性を十分に理解した上で購買決定をしていただきたい」(山口氏)

マシンルームにはずらりと100台以上のサーバ、ストレージが並ぶ。作動中のブレードを1枚、電源が入ったまま抜き出すなど、少々荒っぽい障害対応のデモンストレーションも行われる。デミナールームとマシンルームの境にある特殊ガラスは、「受講中のお客様に集中していただくため」(日本HP)スイッチひとつでスモーク状態に変えることができる

行われるデモンストレーションは、「実機解体ショー」と名付けられたサーバの内部構造の解説や、購入後の運用を想定した実機コンポーネントの抜き差し、仮想化による障害対応など。システム管理者がワイヤレスマウスとキーボードを使用して管理機能の操作性を体感することも可能。また、デミナールームのひとつでは、HPが誇るバーチャル会議システム「HP Halo」を実体験できる。

HP Integrity Superdomeは同社のサーバの中でもハイエンドに位置するモデル。こういったサーバを解体し、製品誕生の背景や設計思想などを専門のエンジニアが熱く(!)説明する

ブレードを格納するエンクロージャを使って、冷却制御バルブのエアフローについて説明しているところ

スペック表ではわかりにくい、管理画面の操作性も実際に体験することができる。この隣には、他社製の管理ソフトウェアの画面が並んでいた。「いかにHPの管理画面が使いやすいかを実感してもらえる」(同社)

映画「シュレック」などでおなじみのDreamWorksがデザインを手がけたテレプレゼンスシステム「HP Halo」は、45Mbpsのスピードでエンドツーエンドの環境を提供する。デモでは実際にシンガポールのオフィスと接続、ストレスのないスムースなコミュニケーションを実現していた

HP 実機体感センターを利用できるのは、基本的に日本HP、もしくは同社のパートナー経由で取引がある顧客だが、新規導入を検討している顧客も利用可能。利用は無料だが、予約が必要になる。日本HPは開設1年間で1,000社の集客を目指しており、同社の各サーバのシェアを高めることをビジネス目標に掲げる。