情報処理推進機構(IPA)は、大学3年生以上の学生600人を対象に情報サービス産業のイメージ分析調査を行うとともに、大卒以上の社会人1,499人を対象に他産業との就業満足度比較調査を行い、結果を公表した。
それによれば、就職を控えた学生はIT系の仕事が厳しいとのイメージを持っており、IT系の従事者は実態以上に給与が低いと考えていることが明らかになった。
学生にさまざまな産業に対するイメージを尋ねたところ、「技術やスキルが身につく」や「夢がある」では、IT・情報サービス・ソフトウェア(以下IT系)が首位だったほか、「かっこいい」「仕事にやりがいがある」などについてもIT系が比較的上位に挙げられた。
一方で、「働いている人たちが自分の仕事に誇りをもっている」では、あまり高い評価を受けておらず、「仕事の内容がわかりやすい」でも比較的下位となった。
「IT系は給与が低い」と思われがちという一般の懸念と比べて、学生はそのようなイメージをあまり抱いていないものの、「仕事がきつい」とのイメージは持っており、IT系の仕事は大変だという認識が学生の間に浸透している可能性があるとIPAは指摘する。
社会人に現在の仕事に対する満足度(就業満足度)を尋ねると、IT系は全業種の中で最も低く、「不満」という回答が唯一1割を超えており、「不満」「どちらかといえば不満」の合計が半数近くに迫っている。IT系では就業満足度が他の業種と比べて低いという結果になった。
就業満足度に影響を与える要因としては、「給与」「職場の雰囲気」「労働時間」が上位だった。
就業満足度に影響を与える要因を業種別に比較すると、IT系では「職場の雰囲気」や「労働時間」、「社内での今後のキャリアに対する見通し」が他の業種より高めであり、「勤務形態の柔軟性」や「研修・スキルアップ支援制度」でも、IT系の人が要因に挙げる割合が多い。
平均年収を業種別に見ると、IT系は他業種と同様かやや高いが、「他業種と比べて給与が高いと思うか」と尋ねたところ、IT系での肯定的な回答の比率は全業種の中で下位から2番目だった。
これらの結果から、IT系に従事する人材は現実を実態よりもネガティブにとらえている傾向があると、IPAは分析している。