NTTコミュニケーションズ 常務取締役 グローバル事業本部長 牧貞夫氏

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は3月16日、ベトナムの通信事業者Vietnam Posts & Telecommunications Group(VNPT)との合弁会社Global Data Service JSC(GDS)が、ベトナムのハノイにおいてTier3基準相当のデータセンター「ハノイ・タンロンデータセンター」を開設したことを発表した。4月12日よりサービスの提供を開始する。

NTT Comでは、「グローバルにおけるプレミアムデータセンターの提供を推進してきた」(同社常務取締役 グローバル事業本部長 牧貞夫氏)であり、「データセンターと言われるとハードウェア的なイメージがあるが、我々はそれを核にソリューションの提供を進めていきたい」(同)とする方針を打ち出している。

NTTコミュニケーションズ グローバル事業本部 グローバルソリューション部長 大井貴氏

そもそも同社では「3つの大きなトレンドを見ている」(同社 グローバル事業本部 グローバルソリューション部長 大井貴氏)であり、それは以下の3つであるという。

  1. 拠点ごとにバラバラであったサーバなどの集約による「コストおよびTCOの削減」
  2. 安定した可用性の高いデータセンターによるパンデミックやディザスタリカバリといった観点を含めた「業務継続性」
  3. ネットワークやサーバ、セキュリティなどを統合した形での一貫サービスとしての「トータルマネジメント」

グローバル企業のデータセンターに対するニーズ

こうした機能を持ち、グローバルネットワークの上にコロケーションだけではなく、さらに各種マネジメント、そして各種サービスをソリューションとして提供するのが同社のプレミアムデータセンターであり、これまで海外27都市でサービスを提供、ハノイの開設は28都市目となる。大井氏は、「既存のデータセンターの拡張も行ってきており、これでグローバルで戦えるだけの力が揃ったと考えている」と語る。

NTTコミュニケーションズが運用するデータセンター

NTTコミュニケーションズが提供するソリューションの概念図

今回開設されるタンロンデータセンターは、「日系企業としてベトナムで初となるデータセンター」(同)であり、投資額は15億円、サーバルームの面積は1,500m2となっている。「ベトナム進出の多国籍企業のICTを支えるための国際標準のデータセンター」(同)であり、「ベトナムを足がかりにアジアを攻める日本企業などにも活用してもらいたい」(同)としている。

ハノイ・タンロンデータセンターの概要

同データセンターの画像各種を掲載したスライド

また、NTT Comでは、グローバルにセキュアな環境でOSや業務関連アプリケーションなどを利用できる「仮想オフィスホスティング」ならびに、メール機能やグループウェアの管理・運用をSaaS型サービスとして利用することが可能な「グローバルメッセージング」の2サービスをそれぞれ4月1日より提供開始する。

仮想オフィスホスティング利用のイメージ図

仮想オフィスホスティングは、海外や自宅といった社外でもWebブラウザが起動可能であれば、「セキュアリモートデスクトップ"MagicConnect"」のUSBキーをパソコンに挿すだけで、オフィスにある個人のパソコンを再現した環境を利用することが可能になるサービス。

USBキーを挿して、内部の実行ファイルを起動

認証画面が出てくるのでユーザ名とパスワードを入力(ワンタイムパスワードによる運用という)

認証を通過すると仮想パソコン上にログオンできる(通常のデスクトップ画面との違いは、上部にタブがあることくらいで、そのほかは基本的には同じである)

データセンター上にホスティングされた仮想パソコンへアクセスすることで実現する。個人専用のUSBキーと認証によるリモートアクセスにより、社外でも社内同様の環境を実現しながら、データ管理などはデータセンター上で行われるため、社外のパソコン上には一切の実データが残らないようになっている。

デモでは、プレゼン用のPCから、個人使用のVAIOにUSBキーを移動させ再認証が行われた(いきなりUSBキーを抜いて、別のPCに挿しても、認証しなおせば直前まで作業していた画面から復帰することが可能)

価格は、最低ID数120の場合で、初期費用98万7,000円(税別)、月額利用料98万7,000円(税別)としており、これにMicrosoft Office 2007やメッセージングなどのオプションを別料金でつけることとなる。

一方のグローバルメッセージングは、同社が提供するホスティングサイトへメッセージングに必要な標準機能を統合することで、拠点ごとのメールサーバを不要としTCO削減効果やよりセキュアな運用を可能とする。

グローバルメッセージングのイメージ図

提供グループウェアはメッセージ統合管理サービス「Hosted Exchange」および「TeamWokrs」の2つ。Hosted Exchangeは、カスタマ専用エクスチェンジサーバ(Microsoft Exchange 2007)にて提供される。専用型のため、個別のニーズに合わせたカスタマイズに対応しやすい。TeamWorksは、通常のメーラーによる使用に加え、Webブラウザ環境だけでもWebメールとして利用可能な共用型グループウェアで、スケジューリングやファイル管理機能なども備えている。

価格は、Hosted Exchangeが利用ID数が500の場合で、初期費用が135万円(税別)、月額料金が135万円(税別)。TeamWorksが利用ID数200の場合で初期費用が40万円(税別)、月額料金が40万円(税別)となっている。

なお、同社ではベトナムのホーチミンにもデータセンターの開設を検討しているとしている。