日本アイ・ビー・エムは3月12日、仮想化、標準化、自動化を駆使した高性能かつ柔軟なシステム環境を構築するためのコンサルティング/設計・構築サービスを発表した。

日本IBM 執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏

発表にあたった日本IBM 執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏は、「エンタープライズ・プライベート・クラウド」というキーワードを使ってコンセプトを紹介。企業グループ内のプライベートなネットワークにおいて、仮想化やプロビジョニングといったクラウド・コンピューティング技術を使いながらITリソースを柔軟に組み合わせ、ユーザーの求めるサービスを迅速かつ自動的に提供できる環境を「エンタープライズ・プライベート・クラウド」と説明したうえで、その例として、IBMの世界中の基礎研究所で活用されているIT基盤「IBM Research Compute Cloud」を挙げた。

同基盤は、研究員が必要とするIT実験環境(OS、CPU、メモリ、ストレージ容量などが指定可能)をオンデマンドで自動的に提供するというもので、申請が承認されてから15分足らずでさまざまなサービスが利用できるようになるという。

IBM Research Compute Cloudの概要

IBM Research Compute Cloudの画面

日本IBM 執行役員 ITS事業担当 吉崎敏文氏

続いて詳細を説明した日本IBM 執行役員 ITS事業担当の吉崎敏文氏は、IBMが以上のような環境の構築をビジネス面からサポートするとしたうえで、具体的なサービスとして次の3つを提供していくことを発表した。

  • クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービス
  • クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービス
  • エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービス

これらのうち、クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービスは、その名のとおり、エンタープライズ・プライベート・クラウドをビジネスで有効に活用するための戦略策定や見積もりを行うコンサルティング・サービス。クラウドの活用が有効な領域を見極めたり、導入効果を概算したり、実現に向けたロードマップを策定したり、といった作業を行う。

クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービスの概要

一方、クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービスは、エンタープライズ・プライベート・クラウドの実現に向けた準備を技術面から支援するコンサルティング・サービスで、「IBM ITサービス・レファレンス・モデル」を活用しながら標準コンポーネントのリファクタリングを行い、アーキテクチャ策定やITサービスカタログの設計などを進めていく。

クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービスの概要

そして、エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービスは、設計・構築を担うサポート・サービスで、IT基盤の設計・構築に加えて、ITサービスをメニュー化した「サービス・カタログ」の設計や標準ITサービスの実装などを支援する。

エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービス

作業期間の概算および参考価格は、クラウド・ビジネス・コンサルティング・サービスが3カ月で2500万円~。クラウド・テクノロジー・コンサルティング・サービスにおけるロードマップ策定が1.5ヶ月で800万円~。エンタープライズ・プライベート・クラウド設計/構築サービスが4カ月で3000万円~となる見込み。