シマンテックは、データセンターのグリーン化の例として、F1のルノーチームの事例を紹介。すでに京都議定書の2012の目標値を達成するなど、環境に対する積極姿勢が明らかになった。

米シマンテック グローバルソリューションズ担当バイスプレジデント ホセ イグレシアス氏

米シマンテックが2008年12月に世界21カ国、1600社を対象に行ったデータセンターについての調査では、73%の回答者が電力関係の予算が増加と回答、これはアプリケーションについで、第2位だという。米シマンテック グローバルソリューションズ担当バイスプレジデント ホセ イグレシアス氏によれば、そのため企業ではコスト問題により、グルーン化に注目が集まっており、特に冷却コストや電力消費量の削減に注目しているという。

そこで、シマンテックではグリーンITに対し、未使用なストレージの把握、N+1によるクラスタリングなどによるハードウェアの効率化、データの重複排除によるデータの最適化、クライアントのきめ細かい電力管理、コンサルティングサービスなどのソリューションを提供している。そして、その例として、F1のルノーチームの事例が紹介された。

シマンテックが提供するグリーンITに対するソリューション

2つのデータセンター

F1は毎年3-10月にかけて、日本の鈴鹿サーキットをはじめ、4大陸でレースが行われ、2009年には17回のグランプリが開催される。ルノーチームでは、1レースあたり90人が移動し、レースごとに移動するレースカーは3台で、そのほかにもスペアパーツ1万7000個、スペアシャーシ1台があり、その量は9台のトラック分で30トンにも及ぶという。

レースカーの製造等を行う技術センターは、シャーシの設計および製造を行う英オックスフォード北のシャーシ技術センターと、エンジンの組み立て、テスト、製造を行うパリの南にあるエンジン技術センターの2カ所あり、900人の従業員が従事しているおり、エンジン技術センターでは、年間200台のエンジンを製造していた時期もあったという。

ルノーチームでは現在、2つのデータセンターを持っており、最初のものは2007年に構築したという。このデータセンターでは、グルーンITを考慮せず構築したが、エネルギーコストを下げるため、シールドされたホットアイルによって、部分冷却を行っているという。

英エンストンに建設した2つめのデータセンターでは、グルーンITを考慮して建物を建設し、その地域に生息する植物や動物に配慮したほか、建物自体を地下に建設。ほかにも、次のような環境に対する取り組みを行ったという。

・建設の際堀起こした土を再利用し、輸送によるCO2を削減
・自然光を取り入れ、エネルギー消費量を削減
・冷却装置や消化システムでオゾン層を破壊しないガスを使用
・廃熱した熱を回収
・エリア全体に在来種植物を植える

また、ルノーチームでは現場でのエネルギーはすべて再生エネルギーを使用することにより、2012年までに炭酸ガスの排出量を12.5%削減するという京都議定書の目標値を、すでに2005年に達成しているという。

英エンストンに建設した2つめのデータセンターのシステム図

グリーンITに関しては、APC InfraStruXureアーキテクチャを利用し、エネルギー効率を25%削減したほか、シマンテックのクラスタ(VCS)によるサーバ統合、ストレージの重複排除、技術センター間でのテレビ会議実施などに取り組んでいるという。

ルノーチームが取り組んだグリーンIT