NTTデータとNECは、医療機関・薬局等がインターネット環境を利用し、審査支払機関へのレセプト(診療報酬明細書)オンライン請求を実現するサービス事業において協業すると発表した。
レセプトとは、病院や薬局などが、健保組合などに医療費を請求するために発行する請求明細書のこと。従来は、紙で印刷したものやフロッピーディスクを送付したり、オンラインで送付する場合でも、通信業者が提供する専用回線(IP-VPN)やISDN回線が必要だったという。
現在、レセプト請求におけるオンライン普及率は、400床以上の大型病院では90%を超えているが、それ以下の病院、診療所、調剤薬局では、20%にも達していない。これに対し、厚生労働省はオンライン化を推進するためガイドラインを改定。今年の4月からは、IPsec+IKEによるVPNを利用すれば、インターネットを利用したデータ送付が認められた。そこで、NTTデータとNECは、共同で審査支払機関への接続環境を提供する。なお、2011年度以降は、すべての医療機関等において電子的なレセプト請求「レセプトオンライン請求」が必要になるという。
具体的にはNTTデータは、審査支払機関への接続管理、運用監視、ヘルプデスクと担当する「NTTデータ接続センタ」と、医療機関からNTTデータ接続センタに接続するためのVPNルータを提供。一方NECは、系列のインターネットサービスプロバイダ「BIGLOBE」より、インターネット接続サービスと、ITにそれほど詳しくない医療機関を対象にしたサポートサービス(訪問1回のサービスで1万8,900円)などを提供する。そして、今後ターゲット事業者22万あまりのうち、30%のシェア獲得を目指していくという。
NTTデータ 医療福祉事業部 事業部長の富田茂氏は、NECを協業の相手に選んだ理由として「医療機関・薬局等のシステム構築に対する強み」を挙げ、一方のNEC 医療ソリューション事業部 事業部長 山口琢也氏は「容易に接続でき費用負担が少ない接続サービスの提供や、拡張性のあるサービス基盤」をNTTデータをパートナーを選んだ理由を挙げた。
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NTTデータ 医療福祉事業部 事業部長 富田茂氏 |
NEC 医療ソリューション事業部 事業部長 山口琢也氏 |
なお、今回NTTデータが提供するVPNは拡張性があり、全部で16のサービスに接続可能になっている。そこで両社は、今回のレセプトオンラインサービス用に提供する接続環境を利用し、今後は地域医療連携、オンライン保守サービス、特定健診など、他のサービスも提供していく予定だ。
価格は、レセプトオンライン接続サービスが月額1,995円(別途、初期費用1万5,750円、ルータレンタル費用(5年レンタルで630円/月、3年レンタルで840円/月)が必要。また、追加料金月額5,250円を払えば、レセプトオンライン接続ソフト、ウィルスチェックソフト、調剤薬局向け薬剤情報提供情報をセットした、レセプトオンライン請求専用端末(PC)もレンタルできる。