サン・マイクロシステムズは18日、2009年度の戦略発表会を開催した。
同社代表取締役社長のライオネル・リム氏は発表会の冒頭、「すべてのものとすべての人をネットーワークに繋げる」という理念を紹介。そのうえで、基本戦略を「ネットワーク経済における最も革新的な製品とサービスを開発していくこと」と説明した。
同戦略の一環として、積極的に続けてきたのが以下の4つの活動だという。
- R&D投資: 年間20億ドルのR&D投資で革新を創出
- テクノロジーの共有: 各種のオープンソースソフトウェアをリリースし、オープンでフリーなコミュニティを構築
- より多くの選択肢の提供: ベンダーロックインを避けるべく、「UltraSPARC」「Solaris」といった製品を持つCPU、OS分野においても、他社製品を選択できるNetwork Computing基盤を提供
- アライアンスの構築: AMD、Intel、Microsoft、Google、IBM、Dellといった企業と連携し、ソリューションを拡大
収益の20%弱にも上る資金を投じて技術革新を進める一方で、オープンソースソフトウェアなどを活用した顧客重視のソリューション提供に注力する同社の姿勢を改めて強調。今後も継続していくことを説明した。
一方、2009年度の施策について説明したマーケティング統括本部 執行役員 統括部長の九里禎久氏は、まず、同社が注力するビジネス分野として「High Performance Computing」「Global Web Buildout」「Business Infrastructure」の3つを列挙。さらに、具体的な活動内容として以下の6項目を挙げた。
- マーケットをリードする製品群、サービス群、および「Web 2.0チーム」創設による新規顧客の獲得
- x86サーバ市場におけるシェアの拡大
- "Sun Partner Advantage Program"拡張によるパートナービジネスの強化
- パートナーとの関係強化による既存顧客の維持と新プラットフォームへの移行推進
- 開発者コミュニティの拡大、学生層の獲得
- Open Solarisダウンロード数の拡大とOpen Storage市場の形成
これらのうち、特に強調されたのが3つ目のSun Partner Advantage Programの拡張である。評価/デモ用機器の貸し出しなど販促活動向けに数億円を用意するうえ、パートナーシップを締結した企業に対して提供する資金もさらにその3倍程度準備しているという。関係各社との協力関係をより強固にし、販売力強化を進める構えだ。
また、新設されるWeb 2.0チームでは、「今後のネットワーク社会を見据えたうえで、有るべきIT環境を追求した、戦略的イニシアティブ、プロジェクトの立ち上げと実行」(新規ビジネス開発本部 本部長 中村彰二郎氏)を第一のミッションに掲げ、正しい技術の活用法を指南しつつ、新技術およびオープンソースソフトウェアの普及や開発者コミュニティの活性化に努めていく。なお、同チームでは、今後のクラウドコンピューティング時代において大きな役割を果たすデータセンターを特に重視。仮想化技術や低消費電力・高性能のハードウェアなどを用いて、海外のデータセンターに対する競争力確保を支援する。