独Software AGは、中期的な事業戦略を発表、全世界では2011年までに、売上高10億ユーロを目指す。同社の売上げ全体では5番目の規模である日本市場では、直販に重点を置き、パートナーは、大手システムインテグレーター(SI)数社に絞り込み、この会計年度では対前年同期比45-50%増の、41-44億円の売上げを目標としている。
ソフトウェア・エージー シニア・バイスプレジデント ETS & webMethods アジア パシフィック & ジャパン コリン・ブルックス氏 |
同社の日本法人である、ソフトウェア・エージーは2006年10月に設立されたが、もともとは1974年から、代理店経由の事業を展開し「30年以上、成長を続けてきた」(ソフトウェア・エージー シニア・バイスプレジデント ETS & webMethods アジア パシフィック & ジャパン コリン・ブルックス氏)。しかし「代理店型のビジネスは、ピークに達した後、われわれが望むような形での、顧客との関係を維持していくことが困難になり、メンテナンス、製品のアップグレードなどの局面で、好機を逃していった」(同)ことなどから売上げも横ばいとなり、2006年、日本法人設置とともに、代理店経由から直販型への移行を決めた。
同社は、2007年には直販体制へと大きく踏み出し、8月には250の既存顧客にフォーカスした戦略を展開しはじめている。ETS(エンタープライズ・ トランザクション・システム)ビジネスでは、150社との間で新契約に移行したが、1970年代の主力製品「Adabas」の顧客は50社以上が移行していないため、同社では早期に、新契約に移行させることを図っている。国内では、まず日本法人の体制固めに注力、直販チームを整備するとともに、現在50人の従業員を2009年には60人に増やす。
製品戦略では、旧代理店にカスタマイズされていた「Adabas」、「Natural」の一部機能を本社の開発部門により同等の機能を実現し、標準サポートに着手する。また、IBMの大型汎用機プラットフォーム上で稼動する「Natural4.2.4」では、拡張属性を標準としてサポートするほか、長期にわたり使用されている古いバージョンの製品のサポートを延長する意向だ。ブルックス シニア・バイスプレジデントは「古いバージョンのサポートを継続し、マイグレーションパッケージの適用などで、移行の過程も十分なサポートをしていきたい」と話す。
また、直販のビジネスモデルへの移行に伴い、パートナーとの関係を見直し「少数精鋭」(同)の体制を築く。従来、国内には、同社のパートナーは25-30社ほどあったが今後は「主要なパートナー4、5社に絞り、密接な関係を構築する。最終的には2、3社に絞る。新たなパートナーは、大規模なSI型の企業を求めている。世界市場でのトップ5内の企業数社、日本では2、3社と話している」(同)状況だ。
ブルックス氏は「新規事業や、新たな顧客の獲得も重要であり、新規事業チームも立ち上げている。ローカル、グローバル双方のマーケティング部門とも連携しながら、主要なSIパートナーとの関係を強化する。日本でもSOA、BPM、ガバナンスなどへの導入機運が高まっており、当社の地域別売上げではトップ5である日本の地位を維持し、いずれは3位にまでしていきたい」との抱負を語った。
Software AG ETS ビジネス事業部 チーフ・テクノロジー・オフィサー ジョー・ジェントリー氏 |
Software AG ETS ビジネス事業部 チーフ・テクノロジー・オフィサー ジョー・ジェントリー氏は、世界的な戦略として、3つの基本方針を示した。まず、地理的な拡大を目指し「世界市場での存在感を高める。たとえば、2008年初頭から、ブラジルでの営業活動を開始しているが、これは当社の歴史のなかでも、最大級の好機ではないかと考えている。さらに東欧でも注力する」。次に「基本的にオーガニックな成長を期し、自社内の資源を活用し、製品を拡販、新規顧客も開拓していく」。買収戦略は「製品系列を広げるために実行する。(買収の)候補となる企業は常に探している。それは、われわれのインフラソフトを強化する技術や、補完的な役割を果たしてくれるような企業だ」
同社は、ITの歴史を振り返り、70年代は「手作り」の時代、80-90年代はパッケ-ジソフトを「買う」時代であると捉え、今後は「Compose」の時代だと位置づけている。ジェントリーCTOは「いまや、業界も顧客もComope(構成する、組み立てる)の時代に入っている」と指摘、「70年代の手作りのシステム、80-90年代のパッケージなど既存のシステムを再構成し、組み立て、新しい要素も付加する。われわれは、ここで重要な役割を果たすことができる。プロセスの自動化や、SOAとガバナンスが鍵になる。80-90年代に購入されたパッケ-ジなどは近代化し刷新する。さまざまな段階を経てきたシステムを近代化することで、最大限の価値を引き出すことが可能になる」と述べた。