IKONの買収を発表するリコー 代表取締役 社長執行役員 近藤史朗氏。同買収はIKON社のほうから話があり、「きわめて友好的に進んだ」という

リコーは27日、独立系事務機器ディストリビュータの大手である米IKON Office Solutions(アイコンオフィスソリューションズ、以下、IKON)との間で買収合意に達したことを発表した。過去60日間のIKON平均株価に33%のプレミアを乗せた1株あたり17.25ドルで同社の全株式を現金で取得、買収金額は16億1,700万ドル(約1,700億円)に上り、リコーにとって過去最大の買収になる。買収完了は2008年第3四半期中(10 - 12月期)の予定。

90年代半ばから国内外で買収戦略を展開してきたリコーの、まさに"総仕上げ"とも言うべき大型買収劇に市場は驚きを隠せない。IKONは米ペンシルバニア州に本社を置く、従業員2万4,000人、連結売上高41億6,800万ドルという事務機器販売の大手独立系ディストリビュータ。複写機、プリンタ、ファックスなどの販売/サービス提供のほか、プリンティングを中心としたアウトソーシングやプロダクションプリンティング事業を展開しており、欧米に約400の販売拠点網をもつ。主要取引ベンダにはリコーのほか、キヤノン、Xeroxなども名を連ねており、とくにキヤノンはリコー以上にIKONへの依存度が高かっただけに、同買収に対する今後の動向が注目される。

リコー 代表取締役 社長執行役員 近藤史朗氏は、同買収の背景について「顧客のニーズが大きく変化してきている」ことを第一に挙げる。「これまで、モノ作りの会社としてハードウェアを作り込むことに注力してきたし、今後もそれは絶対に譲れない。しかし、ただ製品を作るだけでなく、セキュリティやワークフロー改善など、すべてのソリューションサービスをまとめて、しかも世界均質で提供してほしいという顧客からの要望が年々強くなってきている」とし、大手顧客を中心に経営のグローバル化/スピード化が進んでいる以上、同社としてもその要望に迅速に応える必要があったことを強調する。欧米に強い販売/サービス拠点をもつIKONの買収は「両社の顧客にとって大きな付加価値を提供する」(リコー)ことになると判断したという。

ハードウェアだけでなく、総合的なサービスを世界均質で求める顧客の声は年々高まっているという

同社の北米における事業はサブプライムローン問題などの影響もあり、ここ数年低迷していたが、「今回の買収は米国事業の立て直しのためか」との質問に対し、近藤氏は「顧客の要望に応え、狙いの事業分野でトップになるための戦略であり、米国事業の立て直しや規模拡大のための買収ではない」とはっきりと否定する。「リコーはここ1、2年、バックオフィスの統合、ワンシステムへの転換を図ってきた。(今回の買収を含め)、その効果がこれから表れるだろう」としている。

同買収は、リコーの米国子会社Richo Americas Corporation(RAC)が買収のために設立したKeystone AcquisitionをIKONと合併させる、いわゆる「三角合併」の形で行われることになる(存続企業はIKON)。