ポータルサイト「Daum」のWebメールサービス「Hanmail」でエラーが発生し、メールボックスの内容が流出するなどの被害を出していることが明らかとなった。
エラーで55万人がアクセス不能に
事件の発生は22日の午後。Hanmailにログインすると、他人のメールボックスにあるメールタイトルなどが表示されるなどの事故が発生した。その後、Hanmailはサービスが中断され、一時アクセスできない状況となった。復旧は夕方頃で、以降は通常通りのサービスが提供されている。
Daumを運営するDaum Communicationsの説明によると、今回の事故はハッキングなどによるものではなく、システムの単純なエラーにより起きてしまったという。
同社では事故に関して、さらに詳しい状況を把握すべく調査しているほか、事故発生時にHanmailに接続した55万人に対しては、お詫びのメールを送信するなどして対応している。また今後はログインシステムにおける複数の段階において安全装置を設けたり、Hanmailに関する通報センターを運営するといった対策も用意するという。
相次ぐ被害報告に訴訟への動きも
社団法人「消費者市民の会」では、今回の事件に関して、23日午後5時までに150件以上の被害報告を受けたことを明らかにしている。同会が公開している、報告された被害内容は次の通りだ。
- Hanmailにアクセスしてみると、メールボックスに2,000通を超えるスパムメールがあったというA氏。これを削除する過程で、他人宛に来ていたクレジットカード明細書もあったようだが、つい削除してしまった
- B氏はHanmail復旧後にアクセスしてみたところ、TOEICの受付証とクレジットカードの明細書がなくなっていた
- C氏は、普段からHanmailに公認認証書(公的機関から発行され、本人確認の手段として使われる伝書書類)などを保存しているが、他人がこれを見たのではないかとの疑いを持っている
この他にも被害事例が「多様な形で受け付けられている」(消費者市民の会)ということで、民事訴訟提起も含めた今後の対応策を模索しているとのこと。被害の深刻度によっては、訴訟が現実化することも十分に考えられる。
こうした事件が起こると、韓国のネティズンはインターネット上で集まって自分と同じ境遇の人と意見・情報交換をすることが多い。今回の事件もその例外ではないようだ。ポータルサイト「Naver」上の同好会サービス「カフェ」には、訴訟を最終目的とした被害者の集まりがあり、被害事例が書き込まれているところだ。
外部からの悪意あるハッキングではないという点では不幸中の幸いとも言えるが、個人情報が露出したり、メールが削除されたりしたことを考えるとDaum Communicationsには責任が求められそうだ。今後どう対応し、被害者に対する補償をどのように行っていくのか、動きが注目される。