富士通は23日、洞爺湖サミットでも合意された、2050年までに世界の温室効果ガスの排出量を半減するという政府目標を達成するため、中期環境ビジョン「Green Policy 2020」を作成し、公表した。

「Green Policy 2020」のコンセプト

「Green Policy 2020」のロゴ(右)

この中では、「お客様・社会全体への貢献」「自らの改革」「生物多様性の保全」の3つの目標を掲げている。

「Green Policy 2020」の目標

「Green Policy 2020」を発表する富士通 常務理事 環境本部 本部長 高橋淳久氏

「お客様・社会全体への貢献」では、2020年までの達成目標として、世界全体の温室効果ガス排出量がピークアウト(上限を超え、減少に向かう)することと、日本国内において年間約3,000万トンの削減に貢献することを挙げている。3,000万トンの内訳は、IT機器による削減が450万トン、ITソリューションによる削減が2550万トンで、IT機器による削減では、スーパーグリーン製品の拡大を図るとしている。スーパーグリーン製品とは、「省エネルギー」「3R設計・技術」「含有化学物質」「環境貢献材料・技術」などの環境要素のいずれかがトップグループレベルにあるものだ。

「お客様・社会全体への貢献」

スーパーグリーン製品の拡大

富士通では、2007年度から「第5期富士通グループ環境行動計画」をスタートし、2010年度までの4年間で累計700万トン以上のCO2削減に貢献することをめざしているが、2007年度はITインフラの提供により約6万トン、ITソリューションの提供により約68万トンの削減に貢献し、富士通が目標に掲げていた13項目のうち、12項目をクリアしたという。そして同社では、今後3年間でそれぞれ127万トン、208万トン、317万トンを削減することを目標にしている。

富士通では2010年までの4年間で700万トン以上のCO2削減に貢献することをめざしている

「(富士通)自らの改革」では、カーボン1トンあたりどれくらいの生産量があったかなど、事業価値を環境負荷で割った「総合エネルギー効率」という指標を新たに設け、2020年に世界最高水準に到達することを目指すとともに、経営会議の下部組織として「ローカーボン委員会」を設置し、富士通グループの温室効果ガスの削減を目指して、目標の検討、戦略の策定、具体的施策・投資の検討を行う。そして、2010年度には、富士通グループ合計のCO2排出量を1990年度の103万5000トン以下に抑えたい考えだ。

「総合エネルギー効率」という指標を新たに設け、世界最高水準に到達することを目指す

「ローカーボン委員会」を設置

「生物多様性の保全」では、今年の5月にドイツのボン市で開催された「生物多様性条約 第9回締約国会議(COP9)で署名した「ビジネスと生物多様性イニシアチブ(Business and Biodiversity Initiative)」に掲げられたすべて項目を推進するという。同社ではこれまで、マレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林再生や、和歌山県での広葉樹の森作りに取り組んでいるが、今後は企業活動が生物多様性に与える影響の分析、生物多様性指標の作成、各種報告書の公表、科学基幹やNGOとの強調などを行っていくという。

「生物多様性の保全」