米IBMは7月17日(現地時間)、2008年第2四半期(4-6月期)決算を発表した。同四半期の売上は268億2000万ドルで前年同期比13%のアップ、純利益は27億6500万ドルで22%の上昇となった。これまで同様、ハードウェアのシステム部門が横ばいとなる一方で、サービス部門とソフトウェア部門で2桁成長を達成しており、さらにハードウェアからサービス/ソフトウェアへのシフトが鮮明になったといえる。減益や成長減衰で同業他社らが苦しむなかでは高い業績を収めており、同日の時間外取引における株価もそれを反映する形でほぼ横ばい水準となっている。

2008年前期の決算を好調な成績で通過したことについて、米IBM会長で社長兼CEOのSamuel Palmisano氏は「こうした結果はIBMが新興ならびに既存市場の両方でやっていけることを示したものだ。繰り返すと、IBMは世界中でうまくやっているということだ。通年での見通しはもちろんのこと、2010年にはEPS(1株あたりの利益)で10~11ドルを達成するロードマップ実現に向けた感触を得ている」とコメントし、現状の戦略が成功を収めており、引き続き世界での競争力を高めていることを強調する。だがこうした世界戦略を強調するのは、サブプライム問題に端を発する一連の金融危機の直接的影響を欧米諸国が回避するのは難しいと考えられるなか、IBMがこうした影響による被害を最小限に食い止めることができるという、投資家向けのメッセージなのだろう。

地域別にみると、南北アメリカ地域からの売上が109億ドルと依然として一番大きいものの、ドル安による為替の影響を受けて他地域での売上成長率が16~20%と高く、南北アメリカの8%と比較して倍以上の水準にある。EMEA(欧州、中東、アフリカ)での売上はすでに98億ドルに達しており、この為替水準と成長ペースが続けばシェアが逆転する日も近いかもしれない。

事業部別では、グローバルテクノロジーサービス部門が101億ドル、グローバルビジネスサービス部門が51億ドルと2つのグローバルサービス部門だけで152億ドルの売上となっており、全売上に占めるシェアは57%となる。これにソフトウェア部門の売上の55億7400万ドルを加えると売上全体の8割に達し、もはやIBMはソフトウェアとサービスを提供する会社になったといえるだろう。だが一方で、つい先日の15日には米ニューヨーク州の半導体製造施設に15億ドルの投資を発表するなど、持ち上がりつつあるプロセッサ事業からの撤退や売却の噂を否定するかのような活動も行っている。