アドビ システムズは3日、PDF作成ソフトウェアの新版「Adobe Acrobat 9」ファミリーを発売することを発表した。新版では、「PDF作成から活用へ」をテーマに、データ収集機能、コラボレーション機能、ドキュメント統合機能などを強化。情報共有や、営業資料の訴求力向上などに役立つ機能が多数取り込まれている。

ドキュメントの表現力が大きく向上

アドビ システムズ、ナレッジワーカービジネスユニット シニアプロダクトマーケティング マネージャー 山本昌子氏

Adobe Acrobat 9の主な変更点は以下のとおり。

  1. PDFポートフォリオ作成機能の追加
  2. Flashビデオのネイティブサポート
  3. データ収集/進捗管理機能の搭載
  4. コラボレーション機能の強化

これらのうち、PDFポートフォリオ作成機能とFlashビデオのネイティブサポートは、ドキュメントの表現力を向上させるためのものだ。

PDFポートフォリオとは、複数のファイル(Microsoft Office文書、PDF文書、画像、ビデオなど)をPDFファイル内でパッケージングしたもののこと。従来からAcrobatに備わるファイル結合機能を利用した場合(PDF文書に変換されて結合される)とは異なり、"同梱"というかたちになるため、パッケージングされたファイルを取り出して保存したり、ネイティブのアプリケーションで開き、閲覧/変更したりすることができる。また、同梱内容のアニメーション表示が可能、ポートフォリオのタイトルを画像付きで表示できる、といった特徴も備えており(画面参照)、「メールに添付して単純にドキュメントを配布するよりも、視覚的効果は高い」(アドビ システムズ、ナレッジワーカービジネスユニット シニアプロダクトマーケティング マネージャー 山本昌子氏)という。

PDFポートフォリオの例。このポートフォリオでは、弊誌ロゴのGIFファイル、Microsoft Word/Excel文書、PDFファイルなどを同梱。レイアウトは「行のスライド」選択したが、その他にも「回転」「基本グリッド」などが予め用意されている

一方、Flashビデオに関しては、7月上旬にリリースされるAdobe Reader 9がFlash Playerのランタイムを実装するのに伴い、Adobe Acrobat 9では、各種ビデオファイルをFlash形式に自動変換し、PDF文書等に"貼り付ける"機能を搭載。商品紹介資料に動画を挿入する、といったことも簡単に行える。

アドビ システムズ、マーケティング本部 ビジネスソリューション本部 部長の米澤香氏

山本氏によると、この2つの機能は、主にマーケティング担当者や営業担当者の要望に基づいて開発されたものだという。氏は「マーケティングや営業を進めるうえでは、商品/サービスの印象を強く残すことが大切。そのため、以前から表現力の向上を求める声は高かった。今回リリースされたAcrobat 9は十分にその一助となり得るはず」と自信を覗かせる。

また、同社 マーケティング本部 ビジネスソリューション本部 部長の米澤香氏は、Flash対応の意義について次のような見解を示す。「デジタルカメラに動画撮影機能が当たり前のように搭載されている昨今では、業務においてもムービーが活用される機会が増えてきた。特に、製造業や建設業ではその傾向が顕著。Acrobat 9の新機能が重宝されるシーンは少なくないだろう」