Intelの日本法人であるインテルは13日、都内で記者会見を開催し、同社のIT部門の業務内容と効率化への取り組みに関して説明を行った。同社は、毎年、パフォーマンス・レポートと題したIT部門の取り組みに関するレポートを発行している。

同社IT部門における2007年の役割は、「Intelの継続的な成長に必要なIT機能の提供」であり、ビジョンは「ITの能力が競争力の中核に担う」であった。2008年は、役割に、テクノロジーにフォーカスするといった意味が加えられ、「競争力のあるI+Tの提供」とし、ビジョンとしても人材に注視する意味も込めて「IT部門の人材とソリューションによってIntelの成長とビジネスの変革を実現させる」と変更が加えられている。

IntelにおけるIT部門の役割とビジョン

また、役割とビジョンに基づく同社IT部門の戦略目標は、2007年は「オペレーショナル・エクセレンス」「実行力」「収益性」であった。2008年は、積極的で活気のあるITチームの構築を目的とする「人材」、事業の原動力となるコスト競争力に優れたIT運用、サービスを提供する「業務」、売り上げの拡大と収益改善を実現する"情報+テクノロジーソリューション"を提供する「ビジネスソリューション」となっている。

Intel IT部門の戦略目標

オペレーショナル・エクセレンスとしては、標準化された、コスト効果の高いコンピューティング環境を提供してビジネスを推進するものとして、「データセンターの効率化」、「ITサービスの最適レベル化」、SAP ERP 6.0へのアップグレードによる「ERP環境の変革」、アプリケーションのグローバルでの共通化を図る「アプリケーション環境の標準化」、「コスト競争力の強化」、「IT支出の管理」、「IT部門のコンプライアンス維持」を挙げている。

また、実行力としては、機敏で実行力のある組織の実現として、6カ月単位の「プロジェクト管理」、「リーダーシップ開発とスキルの育成」、テクノロジーだけでなくビジネス全体を包括した「ビジネスプロセスの構築」、「ビジネスパートナーシップの構築」、「ITガバナンス」を挙げている。

中でも、IT部門のビジネスプロセスの構築に関しては、6,500万ドルの削減を達成するなど、顕著な改善が実現されたとしているほか、シリコンの設計環境のセットアップに要する時間を66%短縮し、完了までの時間を36日から12日へと減少することにも成功している。

さらに、収益性としては、収益の改善をもたらすソリューションの促進として、CPU単体の提供だけではない「プラットフォームの改善」、「サプライチェーンの管理」、「顧客サービスの改善」、「IT業界を牽引」を挙げている。

加えて、「IT部門の効率化はグリーンITにもつながる」(インテル 情報システム部長 海老澤正男氏)という。例えば同社では、サーバの仮想化と統合による消費電力の削減や高効率のデータセンターの建設、データセンターで生じる熱の再利用などを行うことで、IT部門の省エネルギーを実現しているという。

インテル 情報システム部長 海老澤正男氏

2008年の計画としては、「IT部門の新たな役割、ビジョンおよび戦略目標を実施」(同)していくとし、優先課題として、「ERP変革プログラムの継続」「データセンターの効率向上」「PCの更新を含む、社員の生産性の向上」「IT社員へのより一層の注力」を挙げている。

同社では、データセンターにおけるサーバおよびストレージの使用率が不十分(サーバで平均10%。ただし半導体設計のバッチ処理では70%弱。ストレージで50%)としており、データセンターの効率化プログラムを2006年より進めているという。主な施策としては、

  1. グローバルなIT資源の仮想化
  2. グローバルデータセンターの統合
  3. サーバの積極的なアップグレード

の3つが挙げられる。こうした施策を行うことにより、2010年の中期目標として、「サーバの使用率を20%向上」、「データセンター投資を全般的に削減」、「新技術採用による費用削減」を掲げる。

中でもデータセンターの統合は、2007年末時点で全世界で117カ所、2006年末では136カ所であったことから、約20カ所の削減が行われている。今後は、これを加速させ、2014年までに米国2カ所、欧州3カ所、アジア地域3カ所の計8カ所へと統合する計画である。

117カ所あるデータセンターを最終的には8カ所に統合

また、サーバ数は仮想化などを活用することで、2014年まで現状のまま伸びていった場合の割合230%から130%まで抑えることが可能になるとしているほか、施設費用も2014年で33%削減、電力消費も40%削減が達成できるとしている。

IT資源の仮想化

サーバのアップグレードによりTCOを抑える

こうした取り組みを進めることで、同社では、削減費用効果は10億ドル(正味現在価値で5億5,000万~6億5,000万ドル)に達するとした。