ストレージ大手の米EMCは4月8日(現地時間)、コンシューマ向けストレージ製品を開発する米Iomegaの買収で合意したと発表した。Iomegaの1株あたり3.85ドルが割り当てられ、約2億1300万ドルの買収総額となる。EMCは買収を通じてIomegaのブランド名や製品ライン、販売チャネルを入手し、コンシューマ向けのダイレクトビジネスを強化するのが狙い。必要な審査等を経て、2008年第2四半期での買収完了を目指す。
米EMC社長兼CEOのJoe Tucci氏は「Iomegaは急成長中のコンシューマ/スモールビジネス分野におけるEMCの拡大戦略の中心的存在となる」と買収の狙いを説明する。また米Iomega CEOのJonathan Huberman氏も「Iomegaのビジネス拡大のチャンスであると同時に、EMCも買収でIomegaブランドやチャネルパートナーを活用できる」と述べ、両社の強みを活かせる取引であることを強調する。
買収完了後、IomegaはEMCで新設されるConsumer/Small Business Products Divisionの中核に位置することになる。同部門はHuberman氏が率いることになり、米EMCのSVPで同Storage Platforms部門ゼネラルマネージャのJoel Schwartz氏の直下に配属される。Iomegaブランドは引き続き使用され、EMCのコンシューマ向けソフトウェアであるRetrospectやLifeLineなどの製品も同部門の管轄となる。
光学ドライブが普及する以前、zipやjazなどのユニークな外部記憶装置で名を馳せたIomegaだが、その後も携帯用HDDなどの外付けストレージ、専用リムーバブルメディアのバックアップ装置、NASなど、コンシューマやスモールビジネス向けのストレージ製品をリリースしている。企業向けや大規模環境を得意とするEMCとは接点が少ないと思われがちだが、実際にはIomegaが外付けストレージのバックアップ・ソフトウェアとしてEMC Retrospectを添付して販売するなど、両社は比較的長い提携関係にある。EMCが先日リリースしたばかりのLifeLineも、Iomegaが今夏のリリースを予定しているネットワーク・ストレージ製品のStorCenterシリーズに搭載される見込みだ。