A List ApartにおいてLuke Wroblewski氏による興味深い記事Sign Up Forms Must Dieが公開されている。刺激的なタイトルだが、なかなか内容はデザインとサービスの双方を考えさせる興味深いものとなっている。同氏は現在"Web Form Design: Filling in the Blanks"という書籍を執筆しているが、同書籍への導入という意味を込めてサインアップフォームそのものにフォーカスして論じている。

まず同氏は2007年がオンラインビデオサービスのブレイクアウトイヤーだったことを取り上げ、代表的なサービスとしてGoogle Videoのアカウント作成画面を紹介。Google Videoのアカウント作成画面は典型的な「Sign Up Form」だ。ユーザは電子メール、パスワード、氏名、住所、迷惑行為防止のための文字列の入力、サービス利用規約への合意チェックを求められる。

これに対して同氏はJumpcutの例を紹介し、Google Videoと異なり明確なサインアップフォームがない点を紹介している。Jumpcutではいきなりサービスを使いはじめ、その過程で電子メールと氏名の入力を求められる。サインアップフォームで明示するのではなく、サービスを使う過程で必要に応じてアカウントを作成するアプローチだ。同氏はこれを「gradual engagement」と呼んでいる。同氏はさらにいくつかほかの例をあげながらgradual engagementを説明している。

最後に、Webサービスの提供を検討しているのであればサインアップフォームの採用は避け、かわりにgradual engagementの方法を検討してはどうかということ、サービスの使用方法を随時学べる仕組みにすること、アカウント情報に簡単にアクセスできるようにすること、などをベストプラクティスとして紹介している。

新しくWebサービスの構築を検討しているのであれば、同氏の提案内容は検討の価値があるようにおもえる。無碍にサインアップフォームを排除すればいいものではないが、サービスの種類によってはgradual engagementの方が適切なものもある。一度Sign Up Forms Must Dieを読んで検討してみてほしい。