CO2の削減はもはや世界中のすべての企業にとって避けては通れない課題となっている。とりわけ、"巨大IT企業(IT Giant)"と呼ばれるHewlett-Packardのような企業は、単に省電力効果の高い機器をリリースするだけではなく、具体的な施策と数値目標を提示しながら、その実現プロセスを明らかにし、業界全体を牽引する役目を負う。ITベンダが地球温暖化防止のために貢献できること - すなわち"グリーンIT"を同社はどう推進していくのか、今後、ワールドワイドで展開していくとされる取り組みについて、18日、日本ヒューレット・パッカードが説明を行った。

Hewlett-Packardがここ1年ぐらいに行った発表や会見を振り返ると、「1,000億ドル企業」ということを強く意識した姿勢が感じられる。世界でもごくわずかな企業しか達成し得ない規模に成長したことへの誇りと同時に、世界的企業として社会に果たすべき責任もまた、重くのしかかってくる - とくに同社エグゼクティブの発言にはその傾向が顕著に見て取れる。18日、日本ヒューレット・パッカードのエンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 執行役員 松本芳武氏は会見の冒頭、「100ビリオン(1,000億ドル)企業としてのHPの、グローバルシチズンシップとしての責任」と述べ、企業規模の拡大に応じて責任と義務が増してきたことを強調する。

同氏はまず、ワールドワイドにおける「HPの環境保護の約束」として以下の4つを挙げた。

  • リサイクル・リユーズ…2007年には50万トン(PC約3億台分)のIT機器をリサイクル
  • 環境配慮設計プログラム…環境に配慮した製品設計を行うことを1992年に宣言し、現在も継続中
  • エネルギー消費量の削減…2010年までにHPの製品とその企業活動により消費するエネルギーを2005年実績から25%低減することを目標
  • サプライチェーン…全世界で300社から年間約6兆円の製品・サービス・材料を購入し、各社にHPと同様の環境配慮基準を求める活動を実施

とくに第3点目については、「元々の目標値は20%低減だったが、2007年時点ですでに19.2%の削減を達成できたため、目標値を25%にアップした」(松本氏)という。この目標値を達成するには2005年比で「サーバのエネルギー効率を50%以上、プリンタは30%以上、PCは25%以上」、それぞれ上昇させる必要がある。かなり厳しい目標値ではあるが、具体的な数字までに踏み込んで発言したということは、過去の実績に基づいた自信の表れと見ていいだろう。