NECは、サービスプラットフォーム分野で、米BEASystems、米Microsoft、米Hewlett-Packard、米EMC、米Oracle、米Sun Microsystemsの6社と提携を強化、業種向け、映像、情報管理・活用、コミュニケーションなどの領域で、サービスプラットフォームソリューションの開発、システムモデルの検証、グローバルSIビジネスの拡大を共同で進める。NECでは今回の協業によるシステムモデルを基盤に、サービスプラットフォーム事業を世界市場で展開することを図り、今後3年間で500億円の販売を目指す方針だ。

サービスプラットフォームは、ITとネットワークを融合させた技術を活用したサービスを提供する基盤となるもので、今回の提携強化により、NECと各社は双方のもつ製品、システムモデルを組み合わせたソリューションを開発する。さらに、サービスプラットフォームソリューションを構成するためのシステムモデルに組み込むミドルウェアなどの製品での連携を強化、検証を行う。NECと各社はこのような協業を通じ、サービスプロバイダや通信事業者などをターゲットとし、サービスプラットフォームソリューションによる全世界的な規模のSIビジネスを共同で拡大する。

NECでは、サービスプラットフォームをできるだけ短期間で構築するため、検証済みの製品群とそれを規定するベストプラクティス、テンプレートなどで構成される、実例に基づくシステムモデルを多数用意しており、顧客の用途に応じて柔軟にカスタマイズができる。ここで重要になるのはシステムモデルの発想だ。NEC執行役員の富山卓二氏は「システムモデルとは、システムの処理形態を類型化し、標準化したものだ。システム構築の点でも、個別的なSIを共通化し、ゼロから始めるのではなく、すでにあるものを活用する」と話す。

今回の事業戦略が扱う主な領域は次の通り。

業種向け領域では、通信や金融業界などで必要とする大量なオンライントランザクションをリアルタイムに並列処理する基盤である「PSA(Parallel Stream Architecture)」とともに「SOA(Service Oriented Architecture):サービス指向アーキテクチャー」。

映像領域では、メディアコンテンツ管理に重点を置き、コンテンツホルダが保有する膨大なデジタル映像コンテンツの効率的な利用環境を提供する基盤を構築するほか、これらコンテンツの配信を支える基盤となるストリーミングを強化する。

情報管理・活用領域では、 企業に散在する紙や電子データなどのあらゆるデータを効率的に統合管理する基盤「ECM(Enterprise Content Management)」と「BI(Business Intelligence)」。

セキュリティ領域では、個人情報(ID)を安全に一元管理する基盤である「IDM(Identity Management)」コミュニケーション領域では電話やインターネットなどを活用した顧客対応業務を統一的、効率的に運用する基盤となる「コンタクトセンター」。

NEC取締役 執行役員専務の相澤正俊氏は「ITのシステムが大きく変わるターニングポイントを迎えている。システムのアーキテクチャそのものが新しいかたちになる」と指摘、「パートナーとの連携でも、さらに突っ込んだ協業の形態が必要だ。(ITの大きな変動により)NECだけではまかないきれない面が出てきており、プラットフォームのSI連携が求められる。日本では、ブロードバンド、ユビキタス、携帯電話などで先進的なアプリケーションがある。これらをグローバルに展開していきたい」と述べた。

NEC取締役 執行役員専務

相澤正俊氏

NEC執行役員

富山卓二氏

今回、NECとの提携を強化した各社は以下のように論評している。

日本BEAシステムズ社長 志賀徹也氏

「BEAは、基幹業務向けのインフラとなるシステムを中心に提供してきた。今後はPSA、SOAで貢献していきたい」

EMCジャパン 常務執行役員 ロバート・スティーブンソン氏

「EMCはストレージのリーダーだが、アプリケーションやナレッジマネジメントにも手を広げている。また、当社とNECの経営陣は同じビジョンをもっている。提携強化はユーザーのコミュニティにも歓迎されるだろう」

米Hewlett-Packard ディレクターマイケル・ヤング氏

「NECとHPは共通の情熱をもっている。提携関係も長く続いており、これまでの経験、ノウハウを活かし、革新的なソリューションを世界的に展開していきたい」

マイクロソフト執行役 常務 平野拓也氏

「マイクロソフトはNECとは30年近く協力関係にある。当社はエンタープライズ領域への投資を強めており、NECとの戦略的パートナーシップはさらに重要になる。まず、コンタクトセンターのソリューションにフォーカスし、これをステップにさまざまな展開をしていく」。

日本オラクル 常務執行役員 三露正樹氏

「当社が設置したグリッドセンターには、NECから全面的に協力を得ている。グローバル展開とともに、グリッド技術を基盤に、SOA、BI、セキュリティ、仮想化や、コンテンツ充実化に寄与したい」。

米Sun Microsystems ディレクター アルベルト・スザーノ氏

「NECとサンは、長期にわたりパートナー関係を築いている。ソリューションでは国内だけでなく、グローバルな顧客のニーズに応えたい。世界市場でも、パートナーシップを拡大できる」

左から、志賀徹也氏(日本BEAシステムズ)、ロバート・スティーブンソ ン氏(EMCジャパン)、マイケル・ヤング氏(米HP)、NEC執行役員 富山卓二氏、NEC取締役 執行役員専務 相澤正俊氏、平野拓也氏(マイクロソフト)、三露正樹氏(日本オラクル)、アルベルト・スザーノ氏(米Sun Microsystems)