日本アバイアは、SOA(Service Oriented Architecture: サービス指向アーキテクチャ)を活用した、音声による情報提供サービスを実現するソフトウェア「Avaya Voice Portal」の新版「Avaya Voice Portal 4.1」を発売する。日本アバイアは、ビジネスアプリケーションと、コミュニケーションサービスアプリケーションを統合化した「インテリジェントコミュニケーション」構想を打ち出しており、「Avaya Voice Portal 4.1」をその中核製品と位置づけ、顧客に対して積極的に提案していく方針だ。

ボイスポータルとは一般に、音声認識と音声合成の技術を利用し、音声で入力して操作、その結果、音声で情報を得られる"音声によるポータル"だ。しかし、現状では、ボイスポータルは国内ではあまり普及していない。同社ではこの理由として、以下のように考えている。「ポータルという特性上、企業内の各システムから情報を引き出さなければならないが、そのためには、これらのシステムと連携する機構を、個別に開発することが求められるが、コストと時間がかかった。また、音声認識/音声合成エンジンとの接続でも個別開発を要するなどの点や、システム構成の複雑性が障害となった」

「Avaya Voice Portal」は、SOAを利用して、こうした課題の解決を図っている。SOAでは、アプリケーション、機能などをモジュール化し、それらをサービスとして、柔軟に組み合わせたり、再利用で開発コストの削減などが期待できる。Webサービスにより、さまざまな企業内基幹システムとの連携が可能となり、従来必要だった連携部分の個別開発をしなくてすむ。

「Avaya Voice Portal 4.1」は新機能として、電話発信とともに、発信した相手先の認識機能を備えており、FAX、あるいは留守電なのかどうかを検知できる。また、電話会議の招集機能も新たに搭載、企業内の電話、携帯電話、自宅の電話などにかかわらず、10人までを自動的に招集することが可能だ。また、従来製品に引き続き、従来の自動音声応答機能、発信者番号などにより、発信者を判別し、企業の情報システムに準拠したルーティングができるコールルーティング機能などももっている。1ポートから構築でき、2,000ポートまでを1システムとして管理することが可能だ。また、新しいサービスの追加もWebサービスを利用することで容易になるという。

今回の「Avaya Voice Portal 4.1」の柱はSOAによる、Webサービスとの連携だが、同社では、それを支えるものとして、開発ツールの「Avaya Dialog Designer」を用意しており、Web開発者の標準的な開発環境であるEclipseのアドオンとして、無償提供される。これにより、音声やコンピュータテレフォニーで用いられる、VoiceXMLやCCXMLによる音声認識/音声合成アプリケーションの構築ができる。同社は「これまでは専属の技術者しかできなかった開発作業が、Web管理者などにも可能になり、開発者の増加を見込める」(同社ソリューションマーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャ 田中美紀氏)としている。

企業内には、受発注管理、在庫管理、生産管理などさまざまシステムが稼動している。同社では、Webサービスを介して、これら各システムと「Avaya Voice Portal 4.1」を連携させることにより、音声認識/音声合成システムと企業内業務システムを結びつけた新しいソリューションを構築することを提唱する。また、企業内のさまざまなコミュニケーションを音声を用いたシステムで自動化することで、事業の工程の効率化を図ることができるとしている。

同社では、ボイスポータルを用いたソリューションとして、次のような例を紹介している。

交通機関などのチケット予約システムで、希望日時のチケットが売切れてしまった場合、予約を求めている人々に対し、キャンセル待ちの登録を希望するかどうかをボイスポータルが問い、希望する人が登録すれば、もしキャンセルが出た場合、キャンセル分をまず確保し、電子メール、あるいは携帯電話で希望者に連絡する。これらの一連の工程が、音声認識/音声合成機能を組み込んだシステム自動化される。このほか、運送業での、配送業務管理への応用例も示された。ただ、これらは米国では実稼動の例があるものの、国内では未だ実例はないという。

同社では「インテリジェントコミュニケーション」と呼ばれる戦略を構想している。同社の本来の担当領域は、コールセンター、IPテレフォニーをはじめとする、コミュニケーションアプリケーション、コミュニケーションサービスだ。これらを、企業の事業活動の主力となる、CRM、SCM、営業支援などのビジネスアプリケーションと有機的に連携させ、統合化を進めることを目指すのが、この戦略の目的だ。

同社ソリューションマーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャの平野淳氏は「既存のAvaya Voice Portal4.0は、全世界で、250システム、2万ポート出荷しており、欧米では好評」と話す。国内では遅れているが「SOA構築の一環として、ボイスポータルを意識している企業も出てきており、関心は高まっている。年内には何件か事例を紹介できる」(同社ストラテジック・プランニング マネージング・コンサルタント 岩佐智宏氏)としている。