EMCジャパンは23日、2007年のMLBワールドシリーズチャンピオンであるボストン・レッドソックスとの新パートナーシップとして、3月に東京ドームで開催される「'08 リコーMLB開幕戦」(主催: 読売新聞社)をサポートすることを発表した。その一環として、今回特別に作成されたEMCロゴ入りスリーブパッチの付いたユニフォームを、レッドソックスの選手が身につけて開幕戦を戦う予定となっている。世界有数のストレージベンダであるEMCだが、国内での知名度はそれほど高くなく、今回のスポンサーシップはブランディングの絶好のチャンス。2007年シーズンにおける松坂大輔、岡島秀樹両選手の活躍で日本国内にも大量のレッドソックスファンが生まれたが、その追い風に乗って「国内においてEMCブランドを浸透させていきたい」(EMCジャパン 諸星俊男社長)ところだ。

EMCロゴ入りスリーブパッチが付いた特製ユニフォームを掲げるラリー・ルキーノ レッドソックス社長兼CEOとEMCジャパンの諸星俊男 代表取締役社長。MLBが日本で限定販売するレプリカジャージにもこのパッチが取り付けられる。米国での試合では通常のユニフォームで戦う。ルキーノCEOは「EMCのロゴを付けたユニフォームを着て東京で試合ができることを大変光栄に思っている」と両者の親密ぶりをアピール

米EMCはレッドソックスと同じくマサチューセッツ州ボストンに本拠地を置き、同球団の情報インフラストラクチャに関する公式プロバイダとして、ストレージシステム「EMC CLARiX」をはじめとするさまざまなITシステム/サービスを提供している。レッドソックスは過去6年間に2度のワールドチャンピオン(2004年、2007年)、5回のポストシーズンプレーオフ進出を果たしているが、「EMCのITテクノロジが他球団との差別化を可能にしている」(同球団スタッフ)という。

たとえば選手、コーチ、テリー・フランコナ監督らは試合中も含め、つねに過去数年分の全試合の記録に瞬時にアクセスすることができる。これらはEMC CLARiXにアーカイブされており、ラミレス選手やオルテス選手などは、打席後すぐに自分のパフォーマンスをデジタルビデオで検証しているという。また松坂投手や岡島投手も、レッドソックスの投手として登板する前にEMC Disk Libraryなどに保存されたデジタルライブラリを活用し、各球団のバッターを研究、今期の活躍につなげた。また、ホーム球場のフェンウェイ・パーク以外で行われるアウェイゲームでも、NAS(ネットワーク接続型ストレージ)製品の「EMC Celera NS20」がチームに帯同し、どこであってもデジタルビデオ環境を実現している。膨大なデータの管理にはストレージ管理ソフトウェアの「EMC Navisphere」を活用、6カ月間/162試合のパフォーマンスを支えている。

また、レッドソックスはフェンウェイ・パークにプレミアファンシートの「EMC Club」を2006年に新設、2007年にはEMC専用フロア「EMC Level」の改修/名称設定を行っている。

レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パーク

2006年のシーズン開幕と同時にオープンしたフェンウェイ・パークの「EMC Club」

両者が築いてきた密な関係をさらに発展させるべく、今回のスポンサーシップが締結されたわけだが、EMCにとってはブランディング向上、レッドソックスにとっては日本のファンのさらなる獲得、というそれぞれの狙いがある。レッドソックスの場合、松坂・岡島人気に沸いている今こそがある意味、"稼ぎ時"とも言えるからだ。また、同球団は今回初めて、ユニフォームに企業ロゴを付けることを許したが、それが今までの信頼関係があるEMCのものであれば球団の内外から受け入れられやすいはずだ。一方で、EMCは全国的に注目度の高い「レッドソックス開幕戦」に乗じて一気に知名度を高め、国内でのシェア拡大につなげたいとする。なお今回のスポンサード契約の期間は1年となっている。2008シーズン終了後、同社のマーケティングにどれだけの影響が出ているのかに注目したい。

今回作成されたスリーブパッチには、EMCのロゴと「JAPAN 2008」の文字、MLBのロゴがデザインされている

「'08 リコーMLB開幕戦」は、3月25日および26日に東京ドームでレッドソックスvs.アスレチックスの試合が行われる。