NECのExpress 5800シリーズ(以下、Express 5800)は、1996年以来、国内IAサーバ市場において11年連続でシェアNo.1という圧倒的な強さを誇っており、ライバル企業をリードし続けてきた。変化の激しい市場において首位をキープするため、同社はさまざまな策を講じている…と思いきや、担当者から返ってきた答えは「販売店/パートナーとの関係を大切にする」「顧客の要望を十分にリサーチする」といった、ごくありふれたものだった。はたして本当にそれだけが強さの秘密なのか、同社クライアント・サーバ販売推進本部 マネージャー 渡辺一敏氏および同販売推進本部の高橋輝圭氏に話を伺った。

NEC クライアント・サーバ販売推進本部 マネージャー 渡辺一敏氏(右)と同販売推進本部 高橋輝圭氏

Express 5800の第1の特徴は、その豊富なラインナップだ。タワー/ラック型からブレード、オフコン資産継承型、データセンター向けサーバまで幅広いモデルが揃っている。「日本市場にマッチした製品を用意することは常に考えている」(渡辺氏)というが、逆に選択肢の多さに顧客が混乱することはないのだろうか。「ただ闇雲にラインナップを拡充してきたわけではなく、顧客の要望にこだわった製品作りをしてきた結果。(顧客が混乱するというよりも)むしろ、用途にぴったり合ったサーバが用意されている、といった声のほうが多い」(渡辺氏)

30dbという「ささやき声」レベルの静音性を実現した「Express5800/110Gc-C」はコンパクトな筐体とすっきりしたデザインが特徴的な1wayサーバ。プロセッサにはデュアルコア インテル Xeon 3040(1.86G)を採用

たとえば「Express5800/110Gc-C」「同/120Li」をはじめとする水冷サーバは、まさに「日本のオフィス事情」にこだわって開発されたサーバだと言えるだろう。NECは他社に先駆けて静音/水冷のコンセプトを打ち出し、市場に投入してきた。コンパクトで静かなサーバは、狭いオフィスが多い日本だからこそ需要が高い製品だが、一口に「水冷サーバ」といっても、業務内容や環境によって求められるスペックが大きく異なってくる。NECでは業務アプリケーションサーバ用に2Wayの「120Li」、インターネットサーバやメールサーバ用に1Wayの「110Gc-C」と、用途によって最適な水冷モデルを用意している。とくに110Gc-Cは、狭いマンションなどで業務が深夜に及んでも近隣に迷惑がかからない、「ささやき声」レベルの30dbという静音性を実現している。

もっとも現在は静音サーバは競合ベンダからも多数リリースされている状況にある。同じようなサーバが並ぶ市場において、NECの製品を特徴づけている要素はどこにあるのだろうか。