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日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏 |
日本オラクルは5日、メモリリソースの仮想統合を実現するミドルウェア製品「Oracle Coherence 3.3(以下、Coherence)」を9月11日より発売することを発表した。Coherenceは、今年3月の米Tangosol買収によってOracleが取得した製品。同製品を使用すると大規模データをキャッシュでき、パフォーマンス劇的改善や可用性向上といった効果が得られる。ここでは、発表会で行われたデモを基に同製品の概要と魅力をお伝えしよう。
日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏は、Coherenceを「ミドルウェアデータグリッド」と表現する。その呼称のとおり、Coherenceはミドルウェア層でデータグリッドを実現するための製品だ。以前から提供されている「Oracle Real Application Clusters」はデータベース層においてデータグリッドを実現する製品だが、こちらはアプリケーションサーバとデータベースの間でそれを実現している。
巨大なデータもメモリ上にキャッシュできる
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オラクル システム製品統括本部 営業推進部 Fusion Middleware推進部 担当シニアマネジャー 杉達也氏 |
Coherenceは、複数のサーバを並列的に稼働させるクラスタシステムにおいて大きな効果を発揮する。
通常構成では、当然のことながら、各サーバのメモリリソースはそのサーバ内でしか利用することができない。したがって、「巨大なデータを扱う処理ではデータベースアクセスが頻繁に発生し、高いパフォーマンスを望めない」「セッション・レプリケーションを行う構成にした場合、複数のサーバに重複したデータがキャッシュされることになり、メモリリソースを効率的に活用できているとは言いがたい」といった問題に直面することになる。
それに対し、Coherenceを導入すると、各サーバ上のメモリリソースを足し合わせて大きな論理メモリ領域を構築できる。しかも、そのメモリ領域を全サーバで共有することが可能になる。したがって、上記のような問題を回避することができる。
なお、Coherenceはアプリケーションサーバと同一の筐体にインストールしてもよいし、専用の筐体をにインストーして独立した"ミドルウェアデータグリッド層"を構成するといった使い方もできる。オラクル システム製品統括本部 営業推進部 Fusion Middleware推進部 担当シニアマネジャーの杉達也氏によれば、「アプリケーションサーバと切り離したほうがより高い効果を見込める」という。