ボーランド CodeGearマーケティングディレクター 藤井等氏

ボーランドは6日、Windowsプラットフォーム向けのマルチ言語開発環境「CodeGear RAD Studio 2007」を発表、同日より発売を開始した。Windowsネイティブと.NETの双方のアプリケーション開発をサポートし、Windows 2000/XPのほか、Vistaにも対応する。新たに搭載された「DB4Xアーキテクチャ」がデータベースへのシームレス接続を実現する。同社CodeGearマーケティングディレクター 藤井等氏は「最新への対応に追われながらも、現実に"動く"システムを求められている開発現場のための製品」と、その拡張性と柔軟性に自信を見せる。

「CodeGear RAD Studio 2007」は、同社のC++ Builder、Delphi for Win32、およびDelphi for .NET 2.0を統合した開発環境。開発者はWebアプリケーション、クライアント/サーバ型アプリケーション、デスクトップアプリケーションなどさまざまな形態のアプリケーションを、Windowsのプラットフォームを気にせずに開発することが可能になる。

Win32 APIはもちろん、Vista APIに関してもフルアクセスを提供しており、既存アプリケーションをVistaに対応させることも容易だ。これはOSの差異をコンポーネントフレームワーク「VCL(Visual Component Framework)」が吸収してくれるためで、たとえば2000上で開発したアプリケーションをXPやVista上で動かすことも可能。また、市販のコンポーネントも取り込み可能だ。

データベースアーキテクチャのDBX4は、Oracle、MySQL、DB2、SQL Server、InterBaseなど主要なデータベースへの共通アクセス手段を提供しており、DBドライバの実装やコネクションプーリングのサポートを単純化する。

また、同製品には組み込みデータベースエンジン「BlackfishSQL」が同梱されている。軽量かつ高速なフルマネージドコードSQL-92準拠データベースで、開発したアプリケーションと共に配布が可能となっている。

ASP.NETによるAjax対応Webアプリケーションもビジュアルに開発できる

VCLによりAeroインタフェースをもつVistaアプリケーション開発も容易に

ビジュアル操作でSQLクエリを作成し、すぐに実行して結果を確認することも可能

ECOによるモデリングとDBアプリケーションの構築は「Architect Edition」のみでサポートされている

藤井マーケティングディレクターは「開発の現場では、新しい環境への対応はたしかに望まれているが、それが目的というわけではない。Vistaへのリプレースなどは負荷をかけずに行われるべき。本質的ではないユーザインタフェースのコーディングに時間を取られるのはおかしい」とし、「実際には、Win32アプリケーションはまだ現役であり、ネイティブアプリへの需要は衰えていない。(CodeGear RAD Studio 2007は)現在の技術をやりくりしながらも新しい環境には対応しなければならないという"現実に求められている開発スタイル"を実現した製品」と語る。

同製品は、個人開発者向けでInterBaseおよびMySQLのローカル接続に対応した「Professional Edition」、企業開発者向けで主要なエンタープライズDB接続に対応した「Enterprise Edition」、Enterprise Editionにモデルドリブン開発機能"ECO(Enterprise Core Objects)"を追加した「Architect Edition」の3つのエディションが用意されている。価格は、Professionalが12万6,000円(バージョンアップ価格: 6万7,200円)、Enterpriseが33万6,000円(同: 21万円)、Architectが39万9,000円(同: 31万5,000円)。出荷開始は9月中に行われるという。