中国の多国間貿易ポータルサイト「eBay.cn」上に「eBay外貿大学」と称するビジネス実務能力養成カテゴリが開設した。このほか同ポータルサイトでは対外貿易に関連するユーザーを対象に、PayPal決済情報、取引仲介、コミュニティフォーラムといったコンテンツのほか、EMS送料計算機、国際速達の追跡問い合わせ、世界地図や時間表示などのサービスも提供する。
この「eBay外貿大学」の開設は、eBay.cnの戦略転換を象徴している。同社のC to Cの交易プラットフォーム「易趣」をTOM在線と提携させ、その代わりに、中国事業の重心を多国間貿易ポータルサイト「eBay.cn」に移した形となった。
eBay大中華区のCEOである寥光宇氏は「中小企業と個人ユーザーがeBayのプラットフォームを通じ、世界の38の市場、2億4,100万人のユーザーと直接交易できるようにする」と語る。
インターネットを通じた貿易は、多くの中国人にとって初めての試みである。中国社会科学院の調査報告書によると、現在中国には輸出入資格を持つ中小企業が約26万社存在するが、そのうち半数は利益が出ていない状態である。その主な原因は、大多数の企業が顧客がどこにいるかを知らないからだ。
現在、eBayの手元には3つのカードがあるとされている。1つ目は世界150カ国で2億4,100万人のユーザーを有していること、2つ目は決済ツール「貝宝」サービスが世界190の市場で普及していること、3つ目はインターネットのP2P技術を利用したIP電話「Skype」を使えば全世界の顧客とユーザーが直接繋がるということである。
eBay.cnは最近立ち上げられたサイトであるが、すでにはっきりと多国間貿易ポータルサイトとして位置付けられている。ターゲットとなる市場の動静を把握できるだけでなく、ユーザー同士の交流スペースなどを設け、国境を超えての交流や、「生意経(ビジネスのコツ)」といった相互学習が行えるサービスも提供している。
寥氏は「我々はeBay.cnを通じ、中国のユーザーに貿易情報や、国境を超えた交易に必要なノウハウ提供の機会を作りたい」と話している。業界筋は、eBay.cnのサービスは規模を拡大しつつあり、多国間交易認証から業務コンサルティング、物流や決済に関するアドバイスまで、多面的なサービスを提供していると評価している。