韓国といえばオンラインゲームの盛んな土地柄だが、これに関して2つの興味深い調査結果が発表された。

ユーザー行動はジャンルごとに異なる

オンラインゲームメーカーのHanbit Softは、自社のアクションRPGゲーム「hellgate:london」(以下、hellgate)と、FPS(First Person Shooting)ゲーム「TakeDown」のユーザー、計42,752人を対象に「オンラインゲーム利用現状」と銘打った設問調査を行った。

それによると1日平均のゲームプレイ時間でもっとも多くを占めたのは、hellgateのユーザーでは3~4時間未満で38.8%、TakeDownのユーザーでは1~2時間未満が36.8%だった。

hellgateの場合、3~4時間に続いて、5~10時間未満が32.5%、10時間以上が11.8%という結果が出たのに対し、TakeDownの場合は2~5時間未満が28.3%、5~10時間未満が20.5%となっており、プレイ時間はhellgateの約半分程度となっている。

オンラインゲームを楽しむ主な場所としては、hellgateユーザーの79.4%が自宅、18.4%がPC房(韓国版インターネットカフェ)と答えたのに対し、TakeDownユーザーでは自宅が39.5%、PC房が34.4%と、プレイする場所にも差が出た。

このほかhellgateユーザーは「現在楽しんでいるゲームで、コミュニティ活動をしている」と答えた人が73.9%に上った一方で、TakeDownユーザーは「現在楽しんでいるゲームから、新しいFPSゲームに変える意向がある」と答えた人が76.3%となっている。

コミュニティに参加して情報交換しながら、1つのゲームを時間をかけて楽しむRPGと、短時間で集中的に楽しみ、別のゲームへの移り気も高いFPSゲームとで、楽しみ方に差が出た結果だ。

ちなみにPC房は、ハイスペックなPCや高速インターネット回線を利用できる代わりに、1時間ごとに1,000~1,500ウォン(約123~185円/1円=0.1236ウォン)程度が課金されるので、長時間楽しみたいRPGユーザーは料金の心配のない自宅で、落ち着いてやりたいという気持ちがあるのかもしれない。

一口にオンラインゲームといっても、特定ジャンルのユーザーごとに楽しむスタイルが異なるということが分かる、大変興味深い調査結果となった。Hanbit Softでは「(こうした調査結果は)マーケティング活動のために役立つ」としながらも「結局ユーザーの心を捉えられるのは、ジャンルを超えたゲーム性ではないか」とも分析している。

幼児もゲーム中毒の危険性

オンラインゲームが盛んになる一方で、心配されるのがゲーム中毒だ。これはゲームに没頭するあまり、それに依存するようになり、ひどい場合は社会生活もままならないほどの症状も出るという中毒症だ。最近では小・中学生のゲーム中毒者も出るなど低年齢化が進んでおり、韓国における社会問題となっている。そんな中、就学前の幼児までがゲーム中毒の危険性にさらされているという結果が発表された。

社団法人 学父母監視団は、ソウル地域の満3~5歳の子どもを持つ親237人を対象に「幼児および小学低学年のための父母用インターネットゲーム中毒傾向性尺度」調査を実施した。

この調査では、家庭がゲーム中毒にかかりやすい環境となっているかどうかを尋ねる「ゲーム中毒環境特性内容」と、子どもがゲーム中毒にかかりやすい行動をしているかを尋ねる「ゲーム中毒行動特性内容」の2つの項目に渡り、計14の質問を行っている。ここでの回答を集計し、ゲーム中毒にかかりやすい危険度を4つに分類した。

その結果、満3~5歳の子どものうち2%が「現在ゲームに没入しており、父母と家庭環境が幼児の否定的ゲーム行動を調節できず、今後ゲーム中毒に発展する傾向が大変高い」と判断された。また「ゲームに相当な没入行動を見せ、より適切にゲーム利用を調節してあげなければ今後ゲーム中毒の危険性が高くなる集団」の「潜在群」が6%、「父母と家庭環境における適切な指導と対処が行われておらず、今後幼児のゲーム中毒行動の問題が表れる可能性がある集団」の「環境改善群」が5%に達していた。

韓国インターネット振興院が発表した「2007年 上半期情報化実態調査」(全国10,000世帯の25,654人を対象に行った調査)によると、3~5歳の幼児のインターネット利用率(最近1カ月でインターネットを利用した人の割合)は51.6%に上ることが分かっている。このうち89%がインターネットで、音楽やゲーム、映画といったエンターテインメントコンテンツを楽しむと回答している。

幼児でもこれほどインターネットの利用率が多くなった今、正しい使い方について父兄も含めた教育が必要となる。ソウル市では、同市内に所在している22の幼稚園に通う幼児の父兄を対象に、家庭でインターネットを正しく利用させるための研修を行うなど、ゲーム・インターネット中毒予防に取り組んでいる。

オンラインゲームの市場が活性化するほどに、ユーザーも膨らむ韓国。これは産業的な観点から言えば大変良いことであるが、低年齢化するユーザーやゲーム中毒への対応も、早急に解決すべき問題として浮上している。