ヤフーは2007年度第1四半期(2007年4-6月期)の連結決算を発表した。売上高は対前年同期比15.1%増の566億8,700万円、営業利益は同23.7%の296億7,000万円、経常利益は同24.3%増の285億2,700万円、当期純利益は同22.7%増の162億円だった。売上高は前四半期比では1.5%減で、これは15四半期ぶりのこととなる。ADSLなどのYahoo!BB事業の業務提携契約見直しによるISP料金収入が減少したことが影響している。第2四半期の見通しは、売上高が565-589億円、営業利益は282.5-300億円、経常利益は273-290.5億円、純利益は156.5-165.5億円と予想している。

広告事業の売上高は同15.5%増の245億円(前四半期比1.7%減)となった。企業が広告宣伝費の支出を抑制していることから、全般的には足踏み気味の状況だったが、同社では「バナー広告などディスプレイ広告では、ブランディング効果の高い商品や、利用者の行動履歴を基にした行動ターゲティング広告を中心に販売に注力し、前年同四半期と比べて堅調に売上を伸ばしたほか、スポンサーサイトも前年同四半期比で大きく売上を拡大した」としている。また、検索連動型広告では、「Yahoo!ニュース」、「Yahoo!地図情報」、「Yahoo!ケータイ」などにおいて、検索結果への広告表示を開始するなど積極的な展開を図り、「前年同四半期と比較して大きく売上を拡大した」(同)という。

ビジネスサービス事業の売上高は同30.8%増の140億円だった。なかでも、前年同四半期比で2.6倍となった「Yahoo!不動産」では、掲載件数の大幅な増加、掲載料の引き上げなどの効果があった。「Yahoo!リクナビ」も好調に推移するなど、情報掲載料が前年同四半期と比べて大きく伸長した。「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!オークション」の合計ストア数は、この四半期末で28,368店舗となり、前年同四半期末比で44.2%増加しており、テナント料、手数料収入の大幅増につながった。「Yahoo!オークション」、「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!トラベル」、「Yahoo!チケット」を合計したコマース取扱総額は同10.4%増の2,309億円に達している(前年同四半期比10.4%増)。

パーソナルサービス事業は同4.8%増の181億円だ。主力の「Yahoo!オークション」の取扱高は同5.4%増の約1,815億円だった。「同オークション」では、「Yahoo!JAPAN ID」だけで入札が可能となるキャンペーンを展開したほか、「モバイル版Yahoo!オークション」でも出品無料企画を実施するなど利用拡大策を継続、「堅調に拡大」(同)した。一方、「Yahoo!BB」のISP料金収入はソフトバンクBBとの業務提携契約の見直しの影響により、前年同四半期比で約8億円、前四半期比で約9億円減少した。

同社の井上雅博社長は「広告は、第1四半期は残念ながら前四半期と比べると減少したが、いろいろな新しい商品は段々売上が伸びてきている。行動ターゲティング広告は、かなり価値を認めてくれる広告主も増えてきた。検索連動型は新しいシステムに移行している。検索結果による、広告の出る順番、これは品質が良くなっており、クリックレートが高くなっている。広告の品質は向上しているのではないか」と述べている。

ネットの利用時間増に向け施策、「Yahoo!Everyhwere」とパートナー支援

今回、同社では、中長期的な事業指針を示した。基本は「LIFE ENGINE」で、「インターネットユーザーの生活や人生を、前向きに推進するお手伝いをしていきたい」(井上社長)との意味が込められている。

いまやヤフーはポータルとしての地位が揺ぎないものになっており、「日本のインターネットユーザーの88%は、一カ月に一度はYahoo!JAPANのサイトにアクセスしている」(同)。だが一方で、井上社長は次のような数値を紹介した。同社が算出したところによれば、インターネットユーザーが日常生活のなかで、インターネットを利用する時間は約40分程度であり、全体の2.5%にすぎない。さらに、このインターネット利用時間のうち、Yahoo!JAPAN平均利用時間は約7分で、全体に占める比率は17%だという。

要するに、依然、これらの利用時間には拡大の余地があるというわけだ。井上社長は「ヤフーのシェアを上げていきたいが、インターネットの利用時間(そのもの)も増やしていきたい」と話し、そのための手段として、ユーザー参加型の「ソーシャルメディア化」、パソコンだけでなく多様な窓口からインターネット、ひいてはヤフーを利用できるようにする「Yahoo!Everyhwere」、そして「地域情報」を挙げる。

同社では、任天堂のゲーム機「Wii」のインターネットブラウザに、標準検索機能として「Yahoo!検索」の機能を提供している。また、昨年、ソフトバンクが携帯電話事業に参入したことにともない、携帯電話向けサービスの「Yahoo!ケータイ」に着手しているほか、この4月からはNTTドコモのiモードや、KDDIのEZweb向けの「モバイル版Yahoo!JAPAN」のトップページの刷新などをすすめている。さらに、テレビ、カーナビ情報サービスなど、インターネット利用環境を拡大していくのが「Yahoo!Everyhwere」だ。

もうひとつ、同社が重視しているのは「パートナーサイトを通じた事業機会の拡大」だ。同社がこれまで蓄積してきた情報や技術を活かし、ツールやインフラを提供して、パートナーがサービスを構築できるよう支援するとともに、パートナーサイトへの広告配信などを強化する。この背景には、同社の後押しにより、ヤフーのサイトだけでなく、パートナーのサイトも活性化させ、オンラインサービスをさらに多彩なものとし、インターネット全体の魅力も増大させ、インターネット利用時間の延長につなげようとの考えがある。