韓国のLG経済研究院は、「名CEOの8つの条件」を発表した。

同研究院によると、「名(Great)CEO」とは「市場から優れた成果創出能力を認められ、社会や社員から尊敬を受ける経営者。これを基盤として会社を偉大な企業に仕上げる経営者」を指す。利益を上げても社員からの信頼がなかったり、逆に信頼されていても成果を上げられなかったりする「良い(Good)CEO」とは区別して使っている。

こうした「名CEO」の条件として、同研究所では以下の8つの条件を挙げている。

1.『先見の明』 : 未来を見る目
2.『創意性』 : 未来企業の新成長動力
3.『用兵術』 : ずば抜けた人材起用能力
4.『人間味』 : 動機付与の真髄
5.『勉強の虫』 : 学びに対する情熱
6.『健康』 : 溢れる活力とスタミナ
7.『正道』 : 正直な品性と道徳性
8.『社会的責任』 : Noblesse Obligeの実践

このうち2番目の「未来企業の新成長動力」について同研究院では「経営者の創意的能力は会社の未来を決定する力である」とし、その代表的な例として米Apple代表のスティーブ・ジョブス氏を挙げている。iMacやiPodを作り出したその創意性は、Boston Consulting Groupも「現存するCEOの中でもっとも創意性の高い経営者である」と認めているという。

また4番目の人間味に関しては「単に人間的におだやかで優しそうに見える人だけを指すのではない」とした上で、「配慮」「称賛」「謙遜」の三拍子を持ち合わせた人こそ、真の人間味を持つ人だとしている。こうした経営者を社員も尊敬できるのであり、会社で働く動機ともなるという。

さらに8番目の「Noblesse Oblige」というのは、社会的に高い地位についている人に伴う責任について指す言葉である。この例として挙げられているのは、化学・製薬会社であるMerckのCEO、ロイ・バジェロス氏だ。同氏は寄生虫により発症し失明する恐れもある「河川盲目症」の薬を開発し、これをこの病気で悩まされているアフリカに無料配布した。その結果、Merckは社会からの名声と信頼を得ることとなったのだ。

こうして見ると、経営能力や創意性、健康、道徳心などすべてを持ち合わせた「名CEO」へのハードルは高い。例えば条件を満たしていない部分が1つでもあり、その結果、業績を上げられなかったり信頼を失ったりすれば「良い(Good)」CEOに留まってしまう。

たとえ現時点で欠ける項目が多いとしても、少なくとも「名CEO」になろうとする努力は必要かもしれない。こうした努力を続けるためには「どんな試練も克服する気持ちで精進し、初心を忘れないことである」と同研究所は述べている。

「名CEO」のための8つの条件

条件 内容
『先見の明』 未来を一歩先に予測して準備をし、適応できない企業は生き残れない。経営者は長い目で見て立体的に考える能力が必要。
『創意性』 優れた成果を上げられる、創意的なアイディアは会社の未来を決定する力となる。
『用兵術』 1人ですべての仕事をやりきることはできないもの。良い人材をしっかり活用できる、大胆かつ緻密な用兵術が必要。
『人間味』 真の人間味は「配慮」「称賛」「謙遜」の三拍子をすべて持っていることであり、これにより深い信頼と尊敬を得られる。経営者自らが社員に「この人の下で働きたい」と思わせる動機となること。
『勉強の虫』 忙しいことを言い訳に勉強を怠れば、会社はそれ以上発展しない。経営者は1分1秒も無駄にせず勉強すること。
『健康』 健康ではない経営者は、ストレスによる重圧感に耐えられなくなる可能性が高い。経営も健康第一。
『正道』 正しい道を歩む経営者の姿勢は、その下にいる部下たちの見本となるだけでなく、長期的には創造的企業へ成長する足がかりともなるもの。正直さ、道徳を忘るべからず。
『社会的責任』 社会的責任をとることは、社会的名声や企業の長期的な成功を保証する肥やしともなる。社会に目を向け、そこにある問題に取り組めば、後々会社の名声や成功として跳ね返ってくる。