流通工程管理ソフトの開発、コンサルティングなどを手がけるフレームワークスは、同社の物流管理基盤システム「物流プラットフォーム(仮称)」(以下、物流プラットフォーム)に日本オラクルの「Oracle Fusion Middleware」を採用するとともに、オラクルのアプリケーション製品群「Oracle Applications」とも連携させ、広域化/国際化する流通システムの最適化を支援する。両社は、共同でセミナーを開催するなど、マーケティング活動でも協業していく意向だ。同プラットフォームは現在開発中で、今年10月頃に製品化を完了、年内に発売する予定だ。
「物流プラットフォーム」は、サプライチェーン全体のモノの流れの状況を管理、実行処理、プロセス改善を図る情報システム基盤で、生産の現場から最終的な消費者のもとまでのサプライチェーン全体にわたり、「モノ」が滞留することなく、複数の経路で流れるよう、物流の状況を可視化/制御したうえで、全般の流れの最適化を図るというもの。同プラットフォームの重要な使命としては全体の在庫管理が挙げられる。生産工場、物流センター、さらには輸送中の「積層在庫」までを統合的に監視/制御し、物流現場での「モノ」の過不足をなくす。
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フレームワークス 執行役員 マーケティング本部長 降旗利弥氏 |
また、同プラットフォームは、「リアルタイムに状況を把握する動的な『見える化』と、ある時点での状況を把握する静的な『見える化』の二つが重要なポイント」(フレームワークス 執行役員 マーケティング本部長 降旗利弥氏)であるという。動的な「見える化」で変化に対し迅速に対応、静的な「見える化」により「蓄積したデータを閲覧して、分析し、プロセスを改善することが必要になる」(同)。
同プラットフォームでは、インタフェース、データベースでの接続、「見える化」機能などをオラクル製品が担当している。「Oracle BPEL Process Manager」を採用し、多様なシステム連携にも対応可能なSOA(サービス指向アーキテクチャー)基盤を構築。複数の実行系システムの処理を同時進行させることも可能にした。また、リアルタイムモニタリングツール「Oracle Business Activity Monitoring」が全体の状況をリアルタイムで把握して可視化する。
また、分析評価を行うためのKey Performance Indicator(KPI、重要目標達成指標)も提供されるため、その評価結果を利用することにより、サプライチェーンでのプロセス改善につながる。これはKPIによる物流ダッシュボード「Oracle Business Intelligence Suite」が担う。
降旗氏は「サプライチェーンマネージメント(SCM)や物流の領域には、すでにさまざまなシステムが導入されているが、部分的な最適化にとどまっている状況であり、今後は全体の最適化が重要になる」と話す。今回のプラットフォームでは、これらのような既存システムとの連携の際に、現行システムをできるだけ改変しないで適用していくことを目指している。
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日本オラクル アライアンスビジネス統括本部 ビジネス推進部 ディレクターの遠藤哲氏 |
日本オラクル アライアンスビジネス統括本部 ビジネス推進部 ディレクターの遠藤哲氏は「フレームワークスは物流のビジネスロジックのプロであり、オラクルはインフラ部分の専門家だ」と述べ、両者の技術、ノウハウの組み合わせにより「企業は、ビジネスロジックに専念することができ、ソリューションの確立を早期に実現できる」と指摘、同プラットフォームのユーザーとなる企業は軸となる機能を「つくらず、使う」ことができると強調する。
物流システム業界では最近、東アジア圏を中心とした広域物流の増加をはじめ、電子商取引の拡大、ICタグの普及などが進んでいるほか、日本版SOX法施行にともない内部統制の整備も求められるなど、物流システムの高度化/可視化への需要が高まっている。フレームワークスでは、これらに応えるために同プラットフォームを投入する。一方、日本オラクルは、「Oracle Fusion Middleware」の基盤をさらに強めるとともに、業界ごとに最適な製品を提供するという同社の戦略を推進するかたちになる。また、SOAを中核とした、パートナーとの協業をさらに進める方針だ。
オラクルでは、同プラットフォームを展開する対象として、多拠点展開、多地域への配送の物量/頻度の高い企業、サプライチェーン全体の物量が経営に影響を及ぼす製造業や、導入済みの個別実行系システムを連携させて全体最適化を目指す企業などを挙げている。降旗 執行役員は「他社製品で、今回のプラットフォームと類似の機能をもっているものはあるが、ほぼ同一といえるものはないのではないか。既存のシステムをできるだけ活用したり、サプライチェーン全体を把握する機能を盛り込んだことなどが大きな特徴で、このあたりが異なる」としている。
フレームワークスは1991年に設立され、自社開発パッケージである物流センター管理システムの販売を中心に、コンサルティング・サービス、顧客の要望に応じたシステムの追加/修正を行う、システム・インテグレーションサービスなどの事業を展開している。