昭文社は16日、新しい地図データの更新システムを発表した。同社は独自に構築した地図情報システムSiMAP(サイマップ:昭文社統合地図情報システム)を機軸として、各種地図や旅行ガイドブック、観光情報誌などの出版販売、地理情報システム(GIS)の提供、地図/ガイドのデジタルデータ販売などを行っている。今回開発したシステムは、GISの地図データを常に最新に保つための差分更新を実現するものだという。

通常、GISでは地図データをメッシュとレイヤ単位で管理することが多い。この場合、メッシュ間のデータの連続性を確保するために一部の地図データのみ変更することが困難であり、地図の更新時には全てのデータを変更しなければならない。昭文社の場合、同社のシステムから全データを外部形式に変換してユーザ企業に渡し、ユーザ企業側のGISに適用してもらうという方法を取っている。しかし、この方法ではデータの更新に多大な労力とコストが必要となるため、結果として更新は年数回程度を目安にしているという。

今回同社が開発したシステムでは、地図データを空間データベースによって管理することにより、修正情報をオブジェクト単位で抽出、差分情報のみを他の空間データベースへ適用することができる。したがってこのシステムを利用した場合、ユーザ企業には空間データベースと連携するGISエンジンを提供し、地図の更新時には差分更新データのみを配信してユーザ企業側の空間データベースに適用すればよい。

空間データベースに格納されるオブジェクトはデータの反映日や配信日などの時間管理情報(時間属性)を持ち、他の空間データベースに対する未来情報を配信することが可能だという。この機能により、新規にオープンする施設などの情報も、事前に配信しておくことでオープンと同時に公開することができるようになる。

この差分更新システムを利用すれば地図データの更新にかかるコストが抑えられるため、常に新しい地図を提供することができるようになる。同社では今後このシステムによって鮮度の高い地図データの提供を目指すとともに、ユーザから提供される情報の集約管理での利用も考慮していくとしている。

なお、昭文社では今回発表された差分更新システムの研究開発と並行して、SiMAPで使用するデータベースの空間データベース化も進めている。これにより地図データのオブジェクト単位での全国シームレス管理を実現する方針だ。