米Salesforce.comは4月10日(現地時間)、既存の製品ラインで非定型のコンテンツ管理を可能にする新ソリューション群を発表した。同社は米カリフォルニア州サンフランシスコ市内のホテルでパートナー/報道関係者を集めた懇談会を開催し、「Salesforce Content」「Apex Content」「Salesforce ContentExchange」の3つの製品ラインを正式にリリース。またこれに関連して、今回の技術ベースとなったコンテンツ管理ソリューションを提供する米Koralの買収を正式アナウンスしたほか、Partner Relationship Management(PRM)ソリューションの最新版「Salesforce PRM 2.0」のリリースを発表した。

コンテンツ管理は、現在企業のITシステムで最も注目されるソリューションの1つだ。企業内で日々やりとりされる膨大なドキュメントや関連ファイルを保存、アーカイブ化、インデックス化し、履歴やアクセス管理、ワークフロー管理など、さまざまな形で管理する手段を提供する。これは日本でも来年導入が予定されているJ-SOX法などの文書管理規定で必要となる主要技術でもある。非定型コンテンツとは、Microsoft Officeなどの文書ファイルのほか、電子メール、HTML、音声/画像ファイルなど、通常のデータベースフィールドでは定義できない非定型のデータのことを指す。これら非定型のデータを適切な形で処理する方法を提供することで、ユーザーがコンテンツ管理にかける手間を低減する。業界他社の例でいえば、EMCのDocumentum、IBMのFileNet、PTCのArbortext、MicrosoftのSharePointなどがこれに該当するソリューションとなる。今回の発表でSalesforceユーザーは、既存の環境のまま他社の製品を新たに導入することなくコンテンツ管理ソリューションを導入できる。

Salesforce Contentが既存プラットフォーム向けのコンテンツ管理ソリューションの総称となり、Apex Contentが開発プラットフォーム、Salesforce ContentExchangeがApex Contentの実行プラットフォームならびにソリューションカタログの位置付けとなる。Apex Contentを使うことでAjaxベースのインタフェースを持つカスタムアプリケーションの開発が可能になり、以下のような機能群が提供される。

  • ワークスペース管理 (グループベースのコンテンツアクセス管理)
  • ライブラリ・サービス (コンテンツ利用のチェックイン/チェックアウト管理)
  • コンテンツ分類 (タグ処理によるコンテンツの簡易分類)
  • フルテキスト・インデックス (検索用の完全インデックス化)
  • ワークフロー管理 (CADファイルや文書レビューなどのワークフロー処理)

ContentExchangeではこれらの機能に加え、ユーザー同士がコラボレーションするための補助機能が提供され、目的のコンテンツを探しやすく、かつ適切に処理できるように支援する。なおApex ContentとContentExchangeの価格と具体的な提供時期などは、2007年末の正式発表時に明かされる。