「わが家でも太陽光発電を始めたいけど、初期費用が高いな」などという理由で導入を躊躇していませんか? 太陽光発電の初期費用は、昔よりはに安くなったとはいえ100万円以上のお金がかかるため、なかなか踏み切れないのも無理はありません。
しかし、国や自治体(都道府県・市区町村)では脱炭素(カーボンニュートラル)の実現に向けて、太陽光発電をより一層普及させるためにさまざまな補助金・助成金を用意しています。本記事では2021年度の太陽光発電の補助金・助成金についての最新動向を紹介します。注意点についても解説するので、導入を検討している人はぜひ参考にしてください。
なお、本記事は2021年8月21日時点の情報に基づいています。実際に申請等を行うときは最新の情報をご確認ください。
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国からもらえる太陽光発電の補助金
住宅用太陽光発電の補助金・助成金は、国、都道府県、市区町村によるものの3種類あります。この章と次の章では国の補助金について紹介します。
国の補助金については、太陽光発電単独の購入に対するものはすでに廃止されていますが、2021年8月時点では蓄電池などの補助金があります。太陽光発電とあわせて蓄電池などの購入を考えている人は、ぜひご覧ください。
太陽光発電のみの導入に関する補助金はない
2021年8月時点では、太陽光発電の単独導入に対する国の補助金はありません。2013年度末をもって廃止されており、この先も復活することはないとみられています。
ただし、各自治体(都道府県・市区町村)独自の太陽光発電単独での導入に対する補助金・助成金を設けているところもあります。
補助金が廃止された理由は
資源エネルギー庁は、2009年度に「住宅用太陽光発電導入支援補助金(住宅用太陽電池補助金)」を創設しました。当初、太陽光発電の設備がとても高価であったため、購入者の負担を軽減して太陽光発電の普及を促進することを目的としていました。
その後、太陽光発電の初期費用は安くなり、補助金がなくても導入する人が増えてきたため、2013年度末に補助金制度は目的を達成したと判断されて廃止されました。
太陽光発電の初期費用について詳しく解説した次の記事もご覧ください。


国からもらえる蓄電池などの補助金
太陽光発電単独の導入に対する国の補助金はなくなってしまいましたが、太陽光発電と関わりが深い蓄電池などについては、次のような補助金制度があります。
- DER補助金(蓄電池、V2H充放電設備、家庭用燃料電池、HEMS機器の購入)
- ZEH補助金(ZEH住宅の建築・購入、蓄電池の購入)
- V2H補助金(電気自動車、V2H充放電設備の購入)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
DER補助金
※2021年のDER補助金は、8月18日予算到達までの申請をもって受付を終了しました。くわしくはSIIの公式サイトをご覧ください。
DERとは、「分散型エネルギー源(Distributed Energy Resources)」の略称で、発電所で集中的に発電・電力供給させる代わりに、電気が使用される場所の近くで発電・電力供給する小規模発電源のことをいいます。
DER補助金は、DERを活用して安定的で効率的な電力システムの構築と、再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを目的とした補助金です。正式には「分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」といいます。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)を実施主体とした実証実験に参加すると、最大66万8,000円の補助金がもらえる仕組みです。
条件は、HEMS機器(家庭の電気機器を接続してエネルギーの使用状況を見える化し、各機器を管理するシステム)の購入が必須になることと、指定のメーカーや機種の蓄電池を購入する必要があることなどです。太陽光パネルの購入は必須条件ではありません。
費用区分 | 補助率 | 補助金額上限 | |
蓄電システム | 設備費・工事費 | 1/3以内 | 初期実効容量40,000円/kWh |
V2H充放電設備 | 設備費 | 1/2以内 | 75万円/台 |
工事費 | 定額 | 40万円/台 | |
家庭用燃料電池(エネファーム) | 設備費・工事費 | 一律 | 50,000円/台 |
IoT関連機器(HEMS機器を含める) | 設備費・工事費 | 1/2以内 | 10万円/台 |
【2021】DER補助金のスケジュール
- 申請期限:2021年12月24日まで(系統連系) ※8月18日予算到達までの申請をもって受付を終了
- 実証事業:2022年1月頃(事業期間は1週間程度)
- 報告期限:2022年2月10日
ZEH補助金
ZEH(ゼッチ)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)」の略称で、省エネルギーを実現したうえで太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入し、使うエネルギーと作るエネルギーがプラスマイナス0以上になることを目指した住宅のことです。
ZEH補助金は、ZEHを普及するために環境省が所管する補助金で、正式には「戸建住宅ZEH化等支援事業」といいますが、DER補助金と同じく一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が実施主体になっています。
ZEH住宅の建設・購入に対する補助金額は1戸あたり60万円ですが、蓄電池を設置した場合は20,000円/kWhが加算されます。
【2021】ZEH補助金のスケジュール
- 一次公募:2021年5月6日10:00~2021年6月18日17:00必着 ※終了
- 二次公募:2021年7月5日10:00~2021年8月20日17:00必着 ※終了
- 三次公募:2021年8月30日10:00~2021年9月24日17:00必着
公募期間中であっても予算額に達した場合は、その前日で受付を終了します。SIIの公式サイトで申請状況や予算の残額が発表されるので、定期的にチェックして早めに申請しましょう。
V2H補助金
V2Hとは「ビークル・トゥ・ホーム(Vehicle to Home)」の略で、「車(Vehicle)から家(Home)へ」を意味しています。電気自動車(EV)にバッテリーとして搭載されている蓄電池の電気を、自宅でも利用できるシステムのことをいいます。
V2Hは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)のうちのいずれかと、電気自動車と住宅の分電盤をつないで電気のやり取りを行うV2H充放電器(EV用パワーコンディショナー)が必要です。V2H補助金は、このような車両や機器を購入した場合にもらえる仕組みになっています。
2021年8月時点では、次の3種類のV2H補助金が同時に受け付けられています。
- 「令和2年度第3次補正予算分」の「経済産業省事業分」(災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)
- 「令和2年度第3次補正予算分」の「環境省事業分」(再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボン ライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業)
- 「令和3年度予算分」(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金:経済産業省所管)
これらは併用できないため、条件などをよく比較・検討して、自分に合ったものをひとつ選んで申請する必要があります。
【2021】V2H補助金の基本条件
2021年8月の時点で受付中の3種類のCEV補助金の基本条件を比較してみましょう。
令和2年度第3次補正予算分 | 令和3年度予算分 | ||
経済産業省事業分 | 環境省事業分 | ||
車両 |
|
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V2H充放電設備/外部給電器 |
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- |
公式サイト(実施主体) | 一般社団法人次世代自動車振興センター | 一般社団法人次世代自動車振興センター | 一般社団法人次世代自動車振興センター |
(注1)車両に100V/1500W車載コンセントが装備されている車種に限り、車両のみの単独申請が可能
(注2)車両に外部給電器等への給電機能がない場合は申請不可
このほかにも条件が細かく決まっているので、公式サイトで確認してみてください。
【2021】V2H補助金の補助率・補助金額
次に、3種類のCEV補助金の補助率・補助金額をまとめてみました。
令和2年度第3次補正予算分 | 令和3年度予算分 | ||
経済産業省事業分 | 環境省事業分 | ||
電気自動車(EV) | 上限60万円 | 上限80万円 | 上限40万円 |
プラグインハイブリッド自動車(PHV) | 上限30万円 | 上限40万円 | 上限20万円 |
燃料電池自動車(FCV) | 上限250万円 | 上限250万円 | 上限225万円 |
V2H充放電設備の設備費 | 補助率1/2 上限75万円 | 補助率1/2 上限75万円 | - |
V2H充放電設備の工事費 | 定額補助 上限40万円 | 定額補助 上限40万円(個人) | - |
外部給電器の設備費 | 補助率1/3補助 上限50万円 | 補助率1/3 上限50万円 | - |
【2021】V2H補助金のスケジュール
3種類のCEV補助金の申請受付期限は次の通りです。
令和2年度第3次補正予算分 | 令和3年度予算分 | |
経済産業省事業分 | 環境省事業分 | |
(追加受付分) 2021年9月30日必着 |
|
2022年3月1日必着 |
ただし、予算額に達した場合は受付が打ち切られます。一般社団法人次世代自動車振興センターの公式サイトで、申請状況や予算の残額などが発表されるのでチェックしてください。
自治体からもらえる太陽光発電の補助金・助成金【都道府県】
国とは別に各自治体(都道府県・市区町村)でも、独自の補助金・助成金制度を設けているところがあります。条件やタイミングなどが合えば、国と自治体の補助金・助成金をダブルやトリプルで受け取ることも可能です。
この章では、都道府県の太陽光発電の補助金・助成金をいくつか紹介します。
- 東京ゼロエミ住宅導入促進事業(東京都)
- 自家消費プラン事業(東京都)
- 家庭向け太陽光発電・蓄電設備補助金(京都府)
- 再生可能エネルギー電力活用促進事業補助(埼玉県)
東京ゼロエミ住宅導入促進事業(東京都)
東京都の「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」(クール・ネット東京)は、東京ゼロエミ住宅(都が独自に定めた、高い断熱性能の断熱材や窓を用いたり、高い省エネ性能の家電製品などを取り入れたりしている住宅のこと)を新築した場合にもらえる助成金です。
自家消費プラン事業(東京都)
東京都の「自家消費プラン事業」(クール・ネット東京)は、都内の住宅に新品の蓄電システムを設置した場合にもらえる補助金です。
なお、東京都内の温暖化防止に関わる補助金・助成金情報は、クール・ネット東京の「補助金・助成金ナビ」と「区市町村の補助金等情報」でまとめて紹介されています。
家庭向け太陽光発電・蓄電設備補助金(京都府)
京都府の「家庭向け太陽光発電・蓄電設備補助金」は、太陽光発電と蓄電池を同時に設置した場合に、市町村の補助金に府の補助金(最大13万円)を上乗せする、いわば「補助金の補助金」です。
補助要件や補助金額、受付期間などは各市町村で異なるので、京都府の「家庭向け太陽光発電・蓄電設備補助金(令和3年度)」のページをチェックして、取扱いのある各市町村の環境担当の部署に確認しましょう。
なお、京都府には「スマート・エコハウス促進融資」という、住宅に太陽光発電設備を設置する場合に利用できる融資制度があるので、あわせてチェックしてみてください。
再生可能エネルギー電力活用促進事業補助(埼玉県)
埼玉県の「再生可能エネルギー電力活用促進事業補助」は、自らが居住する既存住宅に、新たに蓄電システムまたはV2Hシステムを導入した場合にもらえる補助金です。
なお、埼玉県内の住宅用太陽光発電の補助金・助成金制度については、市町村の情報を含めて埼玉県の「住宅用太陽光発電総合案内」のページでまとめて紹介されています。
自治体からもらえる太陽光発電の補助金・助成金【市区町村】
住民にとってより身近な存在である市区町村でも、太陽光発電関連の補助金・助成金を用意しているところがあります。いくつかピックアップしたのでチェックしてみましょう。
- 創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成制度(東京都港区)
- 地球温暖化防止設備導入助成(東京都江東区)
- 住宅用省エネルギー設備設置補助金(千葉県野田市)
- 再生可能エネルギー活用促進費補助金交付事業(新潟県十日町市)
創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成制度(東京都港区)
東京都港区の「創エネルギー・省エネルギー機器等設置費助成制度」は、太陽光発電システムや蓄電システム、エネファームなどを設置した場合にもらえる助成金です。
地球温暖化防止設備導入助成(東京都江東区)
東京都江東区の「地球温暖化防止設備導入助成」は、太陽光発電システムや蓄電システム、エネファームなどを設置した場合にもらえる助成金です。
住宅用省エネルギー設備設置補助金(千葉県野田市)
千葉県野田市の「住宅用省エネルギー設備設置補助金(太陽光)」は、太陽光発電システムを設置した場合にもらえる補助金です。
なお太陽光発電以外に、蓄電システムやエネファーム、太陽熱利用システムの設置も補助対象になっています。詳しく知りたい人は、野田市の「住宅用省エネルギー設備の補助金」のページをご覧ください。
再生可能エネルギー活用促進費補助金交付事業(新潟県十日町市)
新潟県十日町市の「再生可能エネルギー活用促進費補助金交付事業」は、太陽光発電や定置用蓄電池、地中熱利用、木質バイオマスストーブなどを導入した場合にもらえる補助金です。
ここで紹介した自治体以外でも補助金・助成金を交付しているので、お住まいの都道府県・市区町村の公式サイトをチェックしてみてください。
太陽光発電の補助金・助成金に関する注意点
最後に、太陽光発電の補助金・助成金に関する注意点を4つ紹介します。
- 交付要綱をよく確認する
- 予算に達すると受付が打ち切られる
- 国の補助金は併用できない
- 補助金・助成金の内容は年度替などによって変わる
ひとつずつ詳しく紹介します。
交付要綱をよく確認する
実施主体で交付要綱という文書を用意しています。そこには補助金・助成金の目的や補助・助成要件、補助・助成金額、受付期間、注意事項などが詳しく記されているのでよく確認しましょう。
特に、機器などの保有期間が決まっていたり、機器等購入後の実績報告書や数年間にわたり定期的にレポートやアンケートを、提出することが条件になっていたりするものもあります。条件を守れなければ補助金・助成金の返還を求められることもあるので、注意してください。
ただし交付要綱を理解し、数多くの書類や図面を用意することは負担に感じることもあるでしょう。そのようなときは、販売店の担当者や住宅系補助金・助成金申請に強い行政書士に相談し、手続き代行やフォローアップサービス(有償)を利用するのもおすすめです。
予算に達すると受付が打ち切られる
太陽光発電に限らず、住宅系の補助金・助成金は先着順で受け付けられることが多いです。予算額に達してしまうと、受付期限を待たずに申請が打ち切られるので、早めに申請しましょう。
国の補助金の場合は、申請状況や予算額の残額などが実施主体の公式サイトで発表されます。いつごろ予算額に達するかの予想も掲載されているので、定期的にチェックしましょう。
国の補助金は併用できない
同じような目的で設けられている国の補助金は、併用できないことが一般的です。例えばDER補助金とZEH補助金を同時に申請することはできません。
一方、国と自治体の補助金・助成金、都道府県と市区町村の補助金・助成金の併用はケース・バイ・ケースです。それぞれの補助・助成事業の実施要綱を熟読し、それでもわからない場合は担当の部署に確認しましょう。
補助金・助成金の条件は年度替などによって変わる
補助・助成要件や申請方法、補助・助成金額などの条件は、国や各自治体によって異なります。同じ自治体であっても年度が替われば条件が変更されたり、補助金・助成金制度自体が終了になったりすることもあります。
年度内でも臨時の補助金・助成金制度が作られたり、追加募集が行われたりすることもあるので、国や各自治体のサイトや、メーカー・販売店が提供する補助金・助成金情報のチェックを欠かさないようにしましょう。
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まとめ
2021年度の太陽光発電の補助金・助成金について、国・自治体(都道府県・市区町村)の最新動向について見てきました。太陽光発電をはじめとした省エネルギー機器を設置すると、初期費用が少なくとも100万円以上はかかるため、躊躇している人も多いかと思います。しかし、公的な補助金・助成金や融資制度を利用することで、負担を軽くすることができます。
太陽光発電は、売電などで月々の電気代の負担を軽減できるだけでなく、省エネルギーや地球温暖化防止に貢献することも可能です。補助金・助成金を積極的に利用して、導入を検討してみてください。
※「マイナビニュース太陽光発電」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/index.html
・https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/
・https://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000062/1030304/1023057.html
・https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf
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