ロシアのウクライナ侵攻以降、カスペルスキーの危険性を危惧する声が多く聞かれるようになりました。
カスペルスキー社自体はロシア政府からの中立性を訴えており、また同社は何年も前から会社の組織・開発体制などをロシアから移動させて、よりグローバルな体制に移行してきています。
ですが、実際のロシア政府とどの程度つながりがあるかを我々が知ることはできませんし、ドイツ、アメリカの公的機関がカスペルスキーに対して排除命令に近い勧告を出していることも事実です。

この記事では、カスペルスキーからの乗り換えを検討している方を対象に、おすすめのセキュリティソフトや乗り換え方法について解説していきます。乗り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
カスペルスキーからの乗り換えにおすすめのセキュリティソフト3選
まずは、カスペルスキーセキュリティからの乗り換え候補としておすすめのセキュリティソフトを、3製品ご紹介します。
ESET HOME セキュリティ エッセンシャル
ESET HOME セキュリティ エッセンシャルは、東ヨーロッパのスロバキアに本社を構えるESET社の製品です。総合セキュリティソフトとしての実績も十分で、特に他社製品に比べ圧倒的な軽さを実現したNOD32のDNAを受け継いでいます。
軽さとともに、誤検出の少ない動作の安定性にも優れた製品で、シンプルで使いやすいユーザーインタフェースも、おすすめ理由の一つ。

また、総合セキュリティソフトとしてはお手頃な価格を実現している点も、強みとして挙げられるでしょう。カスペルスキーセキュリティから乗り換えることで、年間コストの削減も可能です。
以下の記事では、ESET HOME セキュリティ エッセンシャルの性能を実機で検証しています。併せてご確認ください。
ウイルスバスタークラウド
ウイルスバスタークラウドは、日本国籍の会社が開発元となっているセキュリティソフトです。
そのため、守りたい個人情報を事前登録しておくことで、それらの情報が各デバイスから第三者に送信されることを防ぐなど、日本ならではの個人情報漏えい対策に強みを持っています。
開発拠点が国外にも存在するため完璧とはならないかもしれませんが、現在進行形で進んでいるような地政学的なカントリーリスクを、比較的回避しやすい製品とも言えるでしょう。

ゲーププレイ中やリモート会議などの最中に無用なセキュリティソフトの通知が上がることを防げるサイレントモードの存在も、嬉しいですね。
以下の記事では、ウイルスバスタークラウドの性能を実機で検証しています。併せてご確認ください。
ノートン 360
ノートン 360は、カスペルスキーセキュリティを上回る機能が搭載されたセキュリティソフトです。現存する一般ユーザー向けセキュリティ製品の中で、最も多機能なソフトとなります。
セキュリティ製品で考えられる機能はすべて網羅していると言って良いレベルで、カスペルスキー セキュリティでは機能制限付きだった独自VPNやパスワードマネージャーも、最初からフル機能で利用可能です。
多機能でありながらもユーザーインタフェースは上手に整理されており、かつてのノートン先生らしさを残したまとまりの良さ。

多機能な分、高額な点がネックですが、追加料金不要で様々な機能が利用できるため、場合によってはコストパフォーマンスで逆転する可能性もあります。
以下の記事では、ノートン 360の性能を実機で検証しています。併せてご確認ください。
カスペルスキーから他のセキュリティソフトへの乗り換え手順
この節では、カスペルスキーから他のセキュリティソフトへの乗り換え方法を解説します。
カスペルスキー セキュリティからの乗り換えだけに限らず、セキュリティソフトを乗り換える際には必ず「前に使っていた製品を完全にアンインストール」することが大切です。

アンインストール後に新しい製品を入れ直す手順を踏まないと、セキュリティソフト同士がコンフリクトを起こし、思わぬ不調の原因となる可能性があります。無用な手間を回避するためにも、手順はしっかり守りましょう。
1. カスペルスキー セキュリティをアンインストールする
カスペルスキーから他のセキュリティソフトに乗り換える際に最初にやるべき手順は、カスペルスキー セキュリティのアンインストールです。
それぞれのOSでのアンインストール手順に従って製品を削除してください。
Windows 10、11であれば、設定アプリの「アプリ」の項目からアンインストールを実行できます。
この時、カスペルスキーの各種設定情報を保存することも可能ですが、セキュリティソフトを乗り換えてその後カスペルスキーに戻す意図がないのであれば、この情報まで含めた完全消去を行なった方が良いでしょう。
2. 再起動
最近のセキュリティソフトは、インストールの際にもアンインストールの際にも再起動が不要な製品が増えています。
カスペルスキーをアンインストールしたあと、念のためにOSの再起動をかけてから新しいソフトのインストール作業を開始する方が良いでしょう。
3. 新しいセキュリティソフトをインストールする
続いて、新しいセキュリティソフトの手順に従ってインストールを開始してください。
カスペルスキーをアンインストールしてから新しいセキュリティソフトを入れるまでの間、一時的にセキュリティソフトなしの状態になります。この間、本来ならネットから切り離しておく方が安全なのですが、今はセキュリティソフトもインストールプログラム本体をネットからダウンロードしながらのインストール処理になるケースが多くなっています。
そのため、デバイスをネットから切り離すことはできません。セキュリティソフト空白の期間はできるだけ余分なことをせず、ササッと新しい製品を導入してしまいましょう。そして新セキュリティソフト導入後、すぐに簡易スキャンだけでも実行することをおすすめします。

ちなみに、今のWindows系PCは、サードパーティ製のセキュリティソフトをアンインストールすると、自動的にWindows セキュリティが有効化される仕組みとなっています。そのため、セキュリティ上の空白は生まれません。
本当に危険?カスペルスキーの安全性について
ウクライナ戦争勃発後、最初にドイツ連邦情報セキュリティ局(BSI)がカスペルスキー社のセキュリティ製品に対する警告を出しました。カスペルスキー セキュリティなどを通じてサイバー攻撃が行なわれる等の危険性を指摘しています。
その後、アメリカの米国連邦通信委員会(FCC)がカスペルスキー社自体を「国家安全保障上の脅威」認定しています。
後者に関してはアメリカの政権内でもこの扱いに賛否がある、との話も聞かれますが、FCCの扱いに今のところ変更はありません。
一方で、他のセキュリティソフト開発メーカーなどがカスペルスキーセキュリティに危険なコードが埋め込まれているとか、怪しい通信を行なっている、といったことを発表するような動きは今のところ見受けられません。
何らかのソフトウェアにあからさまな「バックドア」でも仕掛けられていてそれが動作したなら、今ならばどのセキュリティ関連の会社にもすぐに嗅ぎつけられてあっという間に危険な製品の認定が行なわれるはずです。

ただ、実際には秘密のコードが仕込まれていてそれが動作していないとか、たまたま「まだ見つかっていないだけ」の可能性もあります。
セキュリティ関連企業がカスペルスキーセキュリティのソフト自体の危険性を指摘しない状況を見る限り、アメリカFCCの意図としては実際にカスペルスキー本体が危険かどうかには関係なく、ロシアという国に関連しているというだけの理由でも「リスクに繋がるかもしれないものすべての可能性の芽をあらかじめ摘んでおく」方針なのかもしれません。
各国政府主導の動きも政治的な「制裁」目的の部分も考えられるため、そちらを丸ごと鵜呑みにするのも微妙に気になる部分がなきにしもあらず・・・といった事情もあり、個人レベルで完全に正しい判断を行なうのは少々無理がある感じです。
ただ、取引先やそれぞれのユーザーに関連する団体等がロシアの製品やサービスの回避を行なっている場合や行なうことを指示している場合には、カスペルスキー製品やサービスの安全性とは関係なくそれらを使っていること自体がリスクになり得ます。
カスペルスキー社自体は他の大手IT企業などと同じようにもはやロシアの企業ではなくいわゆるグローバル企業になっているイメージなのですが、出自がロシアであったことに間違いはなく、セキュリティジャンルでロシア政府と協力関係にあったのも事実です。

これらの項目をリスクと捉える方は、乗り換えを検討した方が良いでしょう。
まとめ
直前の節でも触れましたが、これまでにカスペルスキー セキュリティのプログラム自体に不審な動作があったとか危険なコードが見つかった等の情報は発表されていません。
ただ、可能性の問題として、今後カスペルスキー社の製品がサイバーセキュリティ上のリスクになる可能性を完全に否定することはできません。アメリカFCCの勧告は、この観点に基づいたものだと思われます。
恐らく、今後どこまで行ってもこの件に関する正確な情報が全部出切ることはないと思います。つまり、私たちがこの件で事実を積み上げて論理的に正しい結論にたどり着くことは、おそらく不可能です。
ですので、カスペルスキー セキュリティのリスクをどうとらえるかは、それぞれのユーザーの「気持ち」で判断するのが一番妥当な結論になるのかもしれません。
カスペルスキーから乗り換えるという判断も、少なくとも気持ちの良くないソフトを使い続けるというストレスからは解放されるという精神衛生上のメリットはありますね。その点では間違いなく正解、ということになると思います。

最後に、カスペルスキーからの乗り換え候補としておすすめのセキュリティソフトを再掲しておきます。いずれも利用者が多く、安心して利用できるセキュリティソフトです。
ESET HOME セキュリティ エッセンシャル
ESET HOME セキュリティ エッセンシャルは、東ヨーロッパのスロバキアに本社を構えるESET社の製品です。総合セキュリティソフトとしての実績も十分で、特に他社製品に比べ圧倒的な軽さを実現したNOD32のDNAを受け継いでいます。
軽さとともに、誤検出の少ない動作の安定性にも優れた製品で、シンプルで使いやすいユーザーインタフェースも、おすすめ理由の一つ。
また、総合セキュリティソフトとしてはお手頃な価格を実現している点も、強みとして挙げられるでしょう。カスペルスキーセキュリティから乗り換えることで、年間コストの削減も可能です。
以下の記事では、ESET HOME セキュリティ エッセンシャルの性能を実機で検証しています。併せてご確認ください。
ウイルスバスタークラウド
ウイルスバスタークラウドは、日本国籍の会社が開発元となっているセキュリティソフトです。
そのため、守りたい個人情報を事前登録しておくことで、それらの情報が各デバイスから第三者に送信されることを防ぐなど、日本ならではの個人情報漏えい対策に強みを持っています。
開発拠点が国外にも存在するため完璧とはならないかもしれませんが、現在進行形で進んでいるような地政学的なカントリーリスクを、比較的回避しやすい製品とも言えるでしょう。
ゲーププレイ中やリモート会議などの最中に無用なセキュリティソフトの通知が上がることを防げるサイレントモードの存在も、嬉しいですね。
以下の記事では、ウイルスバスタークラウドの性能を実機で検証しています。併せてご確認ください。
ノートン 360
ノートン 360は、カスペルスキーセキュリティを上回る機能が搭載されたセキュリティソフトです。現存する一般ユーザー向けセキュリティ製品の中で、最も多機能なソフトとなります。
セキュリティ製品で考えられる機能はすべて網羅していると言って良いレベルで、カスペルスキー セキュリティでは機能制限付きだった独自VPNやパスワードマネージャーも、最初からフル機能で利用可能です。
多機能でありながらもユーザーインタフェースは上手に整理されており、かつてのノートン先生らしさを残したまとまりの良さ。
多機能な分、高額な点がネックですが、追加料金不要で様々な機能が利用できるため、場合によってはコストパフォーマンスで逆転する可能性もあります。
以下の記事では、ノートン 360の性能を実機で検証しています。併せてご確認ください。