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金(ゴールド)の国内小売価格が高騰している。2000年に入ってから緩やかな右肩上がりで価格が上昇し、5月21日には1gの相場が1万3,477円と過去最高値を更新。不安定な社会情勢を背景に、需要が高まり続けている。価格高騰の背景や金保有のメリットなどについて、コメ兵 の湯地航介氏(アライアンス推進部 KAITORIGO エキスパート)に聞いた。

( Money )

金価格が最高値を更新、本当の"売り時"といまゴールドを持つメリットとは

MAY. 27, 2024 11:00 Updated DEC. 23, 2024 17:16
Text : 安藤美耶
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金(ゴールド)の国内小売価格が高騰している。2000年に入ってから緩やかな右肩上がりで価格が上昇し、5月21日には1gの相場が1万3,477円と過去最高値を更新。不安定な社会情勢を背景に、需要が高まり続けている。

価格高騰の背景や金の保有・売却のメリットについて、コメ兵 の湯地航介氏(アライアンス推進部 KAITORIGO エキスパート)に聞いた。

  • ※画像はイメージ

■金価格変動の背景

――これまでの金価格の推移と高騰の背景について教えてください。

金価格は物価の上昇にあわせて緩やかに上昇を続けてきましたが、2008年のリーマンショックによる経済の先行き不安を受け、大きく伸びを見せました。またここ数年の急激な価格上昇は、コロナ禍やウクライナ情勢、円安など、複数の事象が要因になっていると考えられます。

直近では、5月21日に1gの相場が1万3,477円と過去最高値を更新しました。イラン・ライシ大統領の墜落死による中東情勢の見通し不安や、中国・台湾情勢の悪化などが背景にあると言われています。中国政府がドルに代わる国際通貨として金を買っているという報道もあり、こうした動きも、金価格の押し上げと需要の急増を後押ししていると考えられます。

  • 2019年からの金価格の推移

■金の売り時はいつ?

――今後の価格推移はどのように見ていますか?

短期的な視点で見て、価格が上がるのか、下がるのかについては、断言が難しいです。

たしかに、金価格はここ数年、過去最高値が更新されています。ただ、政情不安、通貨危機など、様々な要因に左右され、短期間での急激な上がり下がりもあるものです。ただし、数十年という長期的な視点で見れば、上昇傾向である可能性は高いでしょう。資産として持ち続けるというのは選択肢の一つだと思います。

――いま金を売るメリットは大きいですか?

価格が上昇していることは事実ですので、考慮されるには良い時期かと思います。ただし、売り時は相場というよりも、「現金が必要になったとき」など、人生のタイミングの中で個々に判断されるのが良いでしょう。

■金を保有するメリット

――いま、金を保有するメリットは?

インフレが起こると、現物の価格が上がり、現金の価値は下がります。現物資産として、金は比較的世界のどこへ行っても需要がありますので、インフレ傾向が続くと想定するのであれば、金を保有するメリットは大きいと言えるでしょう。

また、金は世界相場で価格が決まるため、円が高いときに購入しておくと、円が安くなるだけで利益が出ます。円安傾向が続くと想定するならば、良い買い物になるでしょう。

ただし、これから金の購入を検討されている方は、投資として割り切れる額の購入をお勧めします。リスク分散という意味でも、不動産や株式、現金などの中に組み入れると良いかと思います。

■貴金属の買取数は確実に増えている

――現在のインゴットや貴金属の買取状況はいかがですか?

概ね好調です。貴金属を売却される方、全体の来店者数も増えていますが、なかでも新規顧客数は前年比104%にのびました。

「金が高くなっている」というイメージを持って貴金属やインゴット、仏具などをお持ち込みになる方も多いですね。見積もりだけのつもりで来店された方も、予想以上の買取価格に驚かれてその場で売却を決められるケースがほとんどです。

90年代から投資目的で持ち続けてきた方、相続で金製品を譲り受けた方など、保有の背景はそれぞれですが、全体的に売却が増えているのは事実です。

――ちなみにですが、買取現場で「これはすごかった」という金製品はありますか?

最近ですと、1.7kgの金の仏像をお持ち込みになった方がいらっしゃいました。江戸時代の作家作品ということで、最終的には2,000万円を超える買取になりました。

実は、買取日の1週間前にお見積もりさせていただいたのですが……たった1週間の間にも1gあたりの価格が上がったということもあり、最終の買取価格が大きく変動しました。なかなかお目にかかれない大物だったと思います。

ちなみに、仏具には相続税が課されません。本来相続税というのは、亡くなった方の財産の総額が課税対象となりますが、仏具はその対象に含める必要がないのです。

つまり……金の仏具というのは「資産」としての価値もありながら、相続税の非課税対象になるため、代々相続されてきたというケースも少なくありません。

相続する側の立場から見ても、生前に仏具を保有しておくことで、課税対象になる相続財産を減らせるので、次の世代のために保有される方もいらっしゃいます。

■金は形態や多少の傷が価格に影響しない資産

――仏具で金を保有するという選択肢もあるのですね。とはいえ、金仏具やインゴットは身近ではないという方も多いと思うのですが…

一般的には、ネックレスなどのジュエリーを持ち込まれる方が多いです。買取価格はあくまでも「重さ」次第なので、年式やデザイン、ネックレスなのか指輪なのか、その形態がどうであれ査定に影響はありません。またひっかき傷があったり、チェーンが切れたりしていても、それによって価格が落ちることもありません。

世界には、有事の際に持って移動する可能性を考慮し、ジュエリーの形で金を持つ方もいらっしゃいます。見方によってはこうした点も、金保有のメリットと言えるかもしれませんね。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。