今回のテーマは「銀座のクラブでの"セクハラ"の概念」です。
近頃「なんでもかんでもセクハラ扱いされちゃたまんないよ~」とぼやいているおじさまをたびたび目にします。ハラスメントに厳しい昨今の風潮になじめない昭和世代が多い印象です。
でも、男女の色恋やいざこざもエンタメのひとつとされている「銀座」ではちょっと事情が違います。
さっそく解説します。
加害体験を"武勇伝"として語る昭和世代
ちょっとガサツで強引で乱暴であるという特性を「男らしさ」とされ、褒め称えられ、一方で欲しいものを我慢したり遠慮したりすると「女々しい」と軽蔑されてきた昭和世代。 欲求を抑制せず、無理矢理にでも手に入れるのがカッコいいとされ、許されてきた彼らの多くには、そもそも"セクハラ"なんていう概念はありません。
よって、「『イヤだ』と言って泣いている女の子を無理矢理ひん剥いて……」なんていうエピソードを武勇伝として語ってしまう程度には悪気も反省もないのです。
まるで悪鬼のような彼らですが、「男らしさ」へのこだわりの強さは弱みでもあり、「女だからわかんなーい」「女だからできなーい」と甘えてみると「そうかそうか! ここは男の私に任せなさい」と気前よく負担を引き受けてくれるところもあり、非常にくみし易い。
特に「性」を売りにしている我々のようなものにとっては悪い商売相手ではありません。 ただし、そうでない女性にとってはまさに害悪でしょう。これまでに数々の女性が声をあげ、戦い続けてきてくれたおかげで社会は変わりつつあると感じます。
銀座のクラブでのセクハラは
では、最近では銀座のクラブでもセクハラには厳しいのでしょうか。結論からお話ししますと、そんなことはありません。そもそも私たちが従事しているのは、胸元がはだけたドレスや下着が見えそうなミニスカート姿で男性にお酌をするお仕事です。「セクハラ? え? なんですかそれ??」って感じです。
もちろん過度なお触りは厳禁です。まず、銀座のクラブに定期的に通っているような男性は「わあ! 女の子だあ! 触っちゃおう」なんていうはしゃぎ方はしませんよね。はだけた胸元にも、チラッと見えているショーツにも飽き飽きしている方がほとんじゃないでしょうか。
2022年8月に俳優の香川照之さんが銀座の会員制クラブでやや過剰にご乱心した件が報じられ、世間を騒がせましたよね。あのようなことが大事件になってしまうほど銀座は平和な町です。
ただし、言葉遊びは別です。「彼氏はいるの?」「どんな男性がタイプ?」なんていう可愛らしい会話から「S?M?」といったちょっと踏み込んだものや、さらにハードなものまで様々な言葉が飛び交います。
ドレスアップした女性と色っぽい会話を楽しむ、そういった非日常を味わえるのも銀座のクラブならではの魅力です。
香川照之さんの件は例外ですが、銀座で起きたことは「他言無用」が基本です。セクハラに厳しい昨今の風潮に疲れた男性にとっては数少ない「羽を伸ばせる場所」かも知れません。