こんにちは、think-cell Japan代表の松塚です。
"戦略とは何をやるかではなく、何をやらないかを決めることである"とは競争戦略論で有名なマイケルポーターやスティーブジョブスが言っていた戦略に関する原則です。
これは個人の働き方にとっても同様のことが言えます。今回は、私が外資企業で10年以上働いてきた中で、観察してきた「外資で活躍する人がやらない6つのこと」について解説します。これは外資企業に限らず日本企業で働くにあたってもヒントになると思いますのでぜひご覧ください。
1.他責にしない
これは、オーナーシップ(責任)を持つという意味でもあります。「〇〇さんに頼んだけど動いてくれないんですよねー。おかげでプロジェクトが遅れています。」といった発言はよく聞きませんか? これは暗に自分の責任ではないと言っているようなものです。人を動かすことも含めて自分の責任であるという考えは活躍するにあたっては重要です。
新卒入社した会社で取り組んでいた案件で、大きなトラブルが発生しました。私は一番下っ端で、部長とともに顧客に謝罪にいきました。その際に「松塚が迷惑をかけてすみません、松塚の責任です。」というような内容のことを部長が言っていたのが忘れられません。部長自身の責任はないかのような発言でした。
この時に、私はこのような上司にはならないと固く誓ったとともに、下っ端であろうがオーナーシップを持つことの重要性を学びました。
2.日本というカルチャーに逃げない
私が働いてきた外資企業やほかの外資企業の方との会話でよく聞くフレーズが「日本は他の国とは違うから、アメリカみたいにスムーズにはいかないよ」という発言です。カルチャーを言い訳にする人で活躍している人を私は見たことがありません。
カルチャーはすべての国が独自のものを持っており、同じ日本内でも各企業にそれぞれのカルチャーがあります。カルチャーは攻略すべき制約条件であって免罪符ではありません。
日本企業においても、自分の顧客企業のカルチャーといった定性的なことを言い訳に使うのは活躍から遠ざかる道だと私自身心に留めております。
3.英語をあきらめない
外資で働いている人が全員英語ベラベラかというとそうでもありません。留学経験がない人も一定数存在し、それでも英語を使っている人の方が多い印象です。
AIが同時翻訳をしてくれるから英語をしゃべる必要はない。といった意見はよく耳にしますが、私の意見としてはそれでも英語は必要だと思います。
リモートよりもオフィス回帰の流れの大きな理由は、コミュニケーションです。いまやリアルで会って話すことのスムーズさや五感で伝わる価値が、リモート会議の経験により、再評価されています。これと同じことが英語においても起こると確信しています。
AI英語でも伝わるけれど、結局直接英語をしゃべる人の方が優遇されるのは間違いありません。AIだと熱量が届かないからです。
Googleなど外資で活躍している私の元同僚もパーソナルトレーナーを付けるなど、ある程度しゃべれるようになってもなお英語スキルを磨いている人が多いです。
4.過去のやり方に固執しない。常にカイゼンサイクルをまわす
マージナルゲインという私の好きな言葉があります。これはわずかな改善の積み重ねが大きな成果につながるという意味で、弱小だったイギリスの自転車競技のナショナルチームがマージナルゲインの考え方を導入してカイゼンを行い、最終的に世界一になったことで有名になった言葉です。
慣れているという理由だけで、過去のやり方を踏襲していては、成長はありません。便利なツールや方法論が次々と生まれてくる中、習慣へ固執することはともすれば、不便に対して過剰にあわせにいっているだけとも言えます。外資ではQBR(四半期ビジネスレビュー)というものがあるのですが、
- 前四半期の結果
- 何がよかったか、何は改善が必要か
- 今四半期は何をやるか
という構成であることが多いです。ここからもカイゼンサイクルの重要性がわかるかと思います。
5.データを軽視しない
外資に限らず言えることは、"データはお金に比する資産である"ということです。そしてデータは世界80億人の共通言語でもあります。
現在、顧客情報や営業活動情報など事細かにデータを簡単に閲覧・分析できるようになりました。たとえば営業活動のデータであれば、自分の過去のデータを見て分析するだけでも自分の改善ポイントを見つけることができます。
私も、常に生データを見て分析して戦略を立てたり、軌道修正を行ったりしています。英語が苦手な私が外資で生き残っているのは、データによって客観的に物事を判断している点と、世界共通言語であるデータを武器に会話をしているからだと思っています。
そもそもデータを見ようとしない、データを見ても腹落ちしないから結局主観で物事を判断する、というのは個人ガラパゴス化の始まりです。
6.メンタルヘルスを軽視しない
どんなに優秀な人でも週1回体調を崩していたら、活躍はできません。第4回コラムでも書きましたが、活躍する人は意図的にランニングや筋トレのような能動的なリフレッシュと、サウナのような受動的なリフレッシュを行っています。
私の所属しているthink-cellの幹部は名だたる経歴の方々ですが、全員が習慣としてランニングか筋トレをしています。
Never Do Listを作ってみましょう
本コラムでは外資で活躍する人がやらないこととして6つをご紹介しました。
- 1.他責思考
- 2.カルチャーという言い訳
- 3.英語の放棄
- 4.現在のやり方への固執
- 5.データ軽視
- 6.メンタルケア軽視
これらは外資系企業に限らず、日本企業においても活躍している方はこのような傾向があると推察しています。
皆様も、これを機会にぜひやらないことリスト=Never Do Listを作ってみてはいかがでしょうか。明文化することは自分自身へのリマインド効果になるのでお勧めです。
これまでのコラムも含めて皆様に少しでも働き方のヒントを提供できたなら幸いです。