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【答え】ホンダの初代「シビックRS」
シビックRSは初代「シビック」のスポーツグレードとして1974年10月に登場します。初代シビックといえば当時、世界一厳しくてパスすることは不可能とまでいわれた米国の「マスキー法」(CO、HC、NOxの排出量を従来の1/10にするという排出ガス規制)を最初にクリアした「CVCCエンジン」が有名ですが、このシビックRSは真逆のコンセプトで設計されています。
これをもう少しわかりやすく説明すると、「世界一クリーンなエンジンを持つにもかかわらず、迫りくる排ガス規制をほとんど考えていないスポーツモデルを登場させた」となります。しかも、CVCCエンジンの登場は、シビックRSよりも早い1973年12月ですので、余計に状況を悪くしています。結果として、シビックRSはたった10カ月で生産を打ち切られてしまいます。
「RS」というグレード名も、メーカー側は「ロードセーリング」(ヨットが風を受けて海原を行くように悠々と未知の彼方に駆け抜けるという意味)の略と説明していますが、どこからどう見ても「レーシングスポーツ」です。
これらのことには当時の時代背景が関係しています。当時はオイルショックや排気ガス問題の真っ只中で、スポーツモデルは当然のことながら世間に受け入れられませんでした。それを避けるための「ロードセーリング」だったのかもしれませんが、結果は予想通りの早期での生産打ち切りです。
そんなどこからどう見ても「レーシングスポーツ」なシビックRSの性能面にも触れていきます。エンジンはベースモデルが搭載するEB1型水冷直列4気筒SOHCにCVキャブレターを2基装着し、さらに圧縮比が8.1から8.6まで高められています。その結果として最高出力は16psアップの76psを発揮しています。
エンジン以外の部分も充実しており、トランスミッションは当時としてはまだ珍しい5速MTです。そして足回りは、強化されたスプリングとショックアブソーバーの専用サスペンションを採用。足回りにあわせてタイヤも変更しており、155SR13にインチアップしたラジアルタイヤ(ベースモデルは12インチのバイアスタイヤ)を装着しています。
以上のことから、シビックRSはワインディングロードでの軽快な走りを実現し、最高速も当時のトップクラスと言える160km/h(カタログ値)を誇りました。
実はシビックの現行型にもRSがあるんです。2024年9月のマイナーチェンジでラインアップに追加となりました。
シビックのスポーツモデルといえば「ワンダーシビック」(3代目モデル)の「Si」やVTECのB16A型を搭載するEF9型、EG6型の「SiRⅡ」が有名ですが、「RS」というグレード名はこれまで使われてきませんでした。つまり、シビックに「RS」が登場するのは実に50年振りということになります。
今回のシビックRSは6速MTのみの設定で、専用サスペンションや専用ブレーキも採用しています。エクステリアの各部に専用のブラック加飾が施されているため、一目でシビックRSであることを見分けることができます。
エンジン性能などはフラッグシップの「シビックタイプR」に比べて大きく劣りますが、腕さえあればサーキットなどで近いラップタイムが刻めるはずです。また、そのコンセプトに初代シビックRSのDNAを感じずにはいられません。
それでは、次回をお楽しみに!
監修: 旧車王(https://www.qsha-oh.com/)
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