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3 エグゼクティブコーチングの現場

エグゼクティブの心の内面に切り込む「破壊的な質問」とは

MAY. 22, 2025 11:00
Text : 橋場剛
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この連載では、日本で初めてコーチングで上場したビジネスコーチの橋場剛 取締役副社長が、経営者・経営幹部に対するエグゼクティブコーチングについて語ります。第3回のテーマは「エグゼクティブの心の内面に切り込む『破壊的な質問』とは」

優秀なエグゼクティブに刺さる「破壊的な質問」とは何か

コーチングを受ける対象がエグゼクティブかどうかに限らず、コーチングを受ける人にとって新たな気づきや発見をもたらすきっかけとなる有効なアプローチの1つが「質問」です。対象に対してどのような問いを立てるか、によって相手の思考は変わり、その結果導き出される答え、取るべき行動も変わります。早速、ささやかな実験です。

【質問】
「いま、あなたが読んでくださっているこのコラムのタイトル(小見出し)には、漢字が何文字含まれていたか正確に答えられますか?」

もしもあなたがいま、このような質問を読んだ直後に、無意識のうちにコラムタイトルを見返して漢字の数を数えようとしたり、タイトル(小見出し)を思い出そうとしたり、あるいはこの文章をスマホで読まれている方であれば、画面を指でスクロースするしぐさをしたりしたとすれば、それは上記の「質問」によってあなたが考え、「答えを探そう」とする行動をしたからこその結果です。

これは「質問」によって人は「考え」、「答えを探し」「行動を起こす」ことについてのごく身近な一例です。

いわゆる「質問力」や「問いを立てる力」の重要性が最近増していることを象徴するのが生成AIの登場です。一度でも生成AIを使ったことがある人ならお分かりかと思いますが、プロンプト(生成AIにコンテンツを生成させるためにユーザーが入力する指示や質問)をどのような表現・言葉で入力するかによって、生成AIのアウトプットの質はまったく異なってきます。

私は「相手の思考を深く促し、相手がこれまで考えてもみなかった切り口での問いかけ、相手の心の内面に深く入り込むような秀逸な質問」のことを10年以上前から「破壊的な質問」と名付け、多くの管理職の方々に対してトレーニング等で「問いを立てる力」をどのようにすれば高めることができるのかについてお伝えしてきました。

この「破壊的」という表現は、故クレイトン・クリステンセン教授による名著『イノベーションのジレンマ』の中で提唱された「破壊的イノベーション」にちなんでおり、同氏へのオマージュが込められています。

  • エグゼクティブに刺さる、破壊的な質問に必要な要素とは?

エグゼクティブに刺さる「破壊的質問」とはどのようなものでしょうか。そもそもエグゼクティブに刺さる「破壊的質問」などと呼べるものはあるのでしょうか。これらの問いに答えるためには、「相手の思考を深く促す」ためにはどのような「要素」が必要であるかを知る必要があります。また、実験してみましょう。

【質問】
「あなたはこれまでに一度でも、人生を賭けて本気で何かに打ち込んだことはありますか?」

この質問を投げかけられて、あなた自身の中にはどんな「感情」や「思考」が湧いてくるでしょうか。

答えが「No」(=つまり、人生を賭けて何かに打ち込んだことがない)の方の場合、湧いてくる感情としては「うっ……痛いところを突かれたな」という意味でドキッとしたかもしれません。

あるいは、わりと最近転職を経験するなど思い切ってキャリアの方向性を変え、新たなチャレンジを始めたばかりの人にとっては、答えが「Yes」(=つまりいま、まさに人生を賭けて新たな仕事に打ち込んでいる最中など)であり、「他人に言われなくても人生賭けて本気で打ち込んでいるよ!」と思わず反論やドヤ顔をしたくなる人もいるかもしれません。

つまり、「どのような状態」に対して「どのような言葉を組み合わせて問いを立てるか」によって、相手の思考や感情、行動に与える影響(インパクト)はまったく異なってくるということになります。

1回のコーチングセッション(通常1時間程度)において、コーチングを受けるエグゼクティブの方に対して、たった1つでも良い意味で心に突き刺さる質問(破壊的質問)をコーチが投げかけることができれば、その1回のコーチングセッションは対象者(クライアント)にとって、大きな収穫となり価値となります。

なぜなら、心に突き刺さる質問とは、その対象者(クライアント)にとって「すぐに答えが出ない」質問だからです。

「すぐに答えが出ない質問」は人の思考を促します。単に思考を促すだけでなく、心の内面に向けての「深い思考」を促します。それでは、具体的にはどのような観点から「問いを立てる」ことが「深い思考」を促すうえで有効なのでしょうか。

次回は、優秀なエグゼクティブに刺さる「破壊的な質問」とは何か、についてさらに具体的に考えていきたいと思います。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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