新しい人生設計の方法のひとつとして、ミレニアム世代を中心に注目を集めている「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」。経済的自立をして早期退職を目指すFIREですが、言葉は知っていても具体的にどのように行動をすれば良いのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
本連載では全8回にわたり、FIREの考え方、FIREを達成するための不動産投資について解説していきます。
最終回の今回は、投資用不動産を購入した後の動きについてお話します。
投資用不動産購入後の運用は、物件の収益性を維持し、将来的な資産価値を高めるために重要なステップです。今回は、建物管理、入居者管理、リスク管理、そして長期的な戦略立案に項目を分けて解説します。
建物の管理
建物を適切に維持することで、長期的な資産価値を保つことができます。
定期的な点検とメンテナンス
外壁や屋根の状態、配管設備の劣化、共用部分の清掃など、細かい部分までチェックを行いましょう。
修繕計画の立案
物件は時間と共に劣化するため、経年劣化を見越して計画的に修繕を行う必要があります。例えば、屋根や外壁の塗装は10年ごと、配管や電気設備は20〜30年ごとに点検・修繕が求められます。事前に修繕が必要な箇所を把握し、修繕費用の積立を始めておくことが大切です。
管理会社の活用
自分で全てを管理するのが難しい場合、管理会社を利用することで、運営の負担を減らすことができます。物件管理や入居者対応などの煩雑な業務をプロに任せることで、より効率的に投資運用を行えます。
入居者の管理
迅速なトラブル対応
設備の故障や苦情が発生した場合、迅速かつ誠実な対応を行うことで、入居者の信頼を得ることができます。
契約更新と家賃設定
更新時には市場の相場を反映した家賃調整を行うことで、収益性を最大化できます。
空室対策
設備の改善や柔軟な契約条件を提示することで、入居者の目に留まりやすくなり、空室リスクを軽減できます。
具体的には、賃料の見せ方を工夫(例:「家賃5万9,000円、共益費3,000円」と表示)したり、敷金・礼金の調整、無料インターネットやテレビモニター付きインターホンというような人気設備の導入などの対応の仕方があります。
リスク管理
不動産投資にはさまざまなリスクが伴いますが、事前に対策を講じることで影響を最小限に抑えることができます。
自然災害への備え
地震や台風に備えた保険の加入や、耐震基準を満たす物件の選定が重要です。
経済環境の変化
金利上昇や景気後退に対応するため、キャッシュフローを見直し、予備資金を確保しておきましょう。
家賃滞納のリスク
賃貸保証会社を活用することで、リスクを軽減できます。また、収入証明書や雇用証明書の確認、クレジットチェック、過去の賃貸履歴の調査をして、入居者の審査を慎重に行うことも大切です。
長期的な戦略立案
ポートフォリオの見直し
保有中の物件については、収益性やリスクを定期的に見直すことが大切です。
例えば、稼働率が低い物件や維持費が高額な物件は、不採算になる可能性があります。そのような物件を売却し、より収益性の高い物件に入れ替えることで、ポートフォリオ全体の安定性を向上させることができます
また、物件の築年数や立地条件を再評価することで、将来的な価値変動への対策も講じることができます。
追加購入の検討
一定のキャッシュフローが確保できている場合は、新たな物件の購入を検討してみることも良いかと思います。
この際、物件の立地やタイプを分散させると良いでしょう。例えば、都市部のワンルームマンションに加え、地方都市で利回りの高いアパートを選ぶことで、収益源を多様化し安定性を高めることができます。
また、資金調達についても計画を立てることが大切です。自己資金と融資のバランスを考慮し、返済計画を具体的に立案することで、無理のない運用が可能になります。
最後に
全8回にわたって、FIREの考え方や不動産投資を活用した戦略について解説してきました。
不動産投資は、収益を安定して生み出すだけでなく、リスクを適切に管理しながら資産を積み上げる可能性を秘めています。特に、自分に合った投資スタイルを見つけることで、効率よく目標に近づくことができるでしょう。
FIREを目指す道のりは長期戦です。経済環境や市場の変化に対応しながら学び続け、戦略を柔軟に見直すことが成功のポイントとなります。
このコラムが、FIREを目指す皆さんにとって一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
株式会社ネクスウィル
HP:https://www.nexwill.co.jp/
新橋に本社を構える不動産会社。訳あり不動産を専門とした不動産の買取再販事業を展開するとともに、マネープロデュース事業、studyFIRE運営も行う。2019年から開催している投資セミナーの総受講人数は1000人を超える。セミナー詳細についてはコチラから