お盆や年末年始に実家へ帰省した際、庭の手入れが行き届いていなかったり、親の足腰が弱っている様子を目にして、「そろそろこの家のことを考えないと」と感じた経験はないでしょうか。こうした「実家をどうするか」という課題は、近年「実家じまい」と呼ばれています。「実家じまい」とは、相続した家を売却・解体・賃貸などの形で整理・処分・活用すること、あるいは親の施設入居をきっかけに子世代が実家の将来を検討することを指します。

似た言葉に「家じまい」がありますが、これは自分自身が住む家を処分し、住み替えや施設入居に備える「終活」の一環を指します。一方「実家じまい」は、離れて暮らす子世代が親の住む実家の将来を検討し、整理・処分することを指す言葉です。

「大相続時代」の到来で、他人事ではなくなる

背景にあるのは大きな社会構造の変化です。2025年には1947年〜49年生まれの「団塊の世代」約800万人が、全員75歳以上の後期高齢者となりました。相続件数は今後さらに増加すると見られています。いわば「大相続時代」の到来です。

実家は現金や有価証券と異なり、片付けや管理に手間がかかります。その上思い出も詰まっているため、家族の感情面への配慮も欠かせません。全国の空き家は900万戸、空き家率は過去最高の13.8%に達し(※1)、約6割の人が「将来、実家が空き家になる」と予測しているというデータもあります(※2)。核家族化が進んだことで、「誰も住まなくなった実家をどうするか」という問題は、もはや一部の人だけのものではなくなっています。

話し合った家庭は、まだ3割程度

では、実際にどれくらいの家庭が実家の将来について話し合えているのでしょうか。

すむたすが2026年7月に実施した調査(※3)によると、実家の処分について親子間で「話し合ったことがある」と回答した人は29.5%でした。話し合いの実施率は、2025年12月に実施した調査(※4)時の32.5%から減少しており、依然として7割近くの家庭では話し合いが行われていません。話し合っていない理由は、親世代・子世代ともに「まだ具体的に考えていないから」が最多でした。

こうした先送りは、後々の負担につながりやすいものです。実家の相続・処分の経験者を対象にした別の調査では、半数以上が「事前にやっておけばよかった」と後悔しており、内容としては「処分費用の確認」「親と一緒の片付け」「売却価格の確認」が上位に挙がっています。準備をしないまま直面すると、費用や手続きの面で想定外の負担を強いられるケースが少なくありません。

本連載でお伝えすること

本連載では、こうした調査データや実務の知見をもとに、実家じまいで押さえておきたいポイントを全6回で解説していきます。

第2回では話し合いを始める際のコツや親子間のギャップを取り上げ、第3回以降では書類の準備から片付け、手放し方の選択肢、費用の目安まで、実際のステップに沿って紹介します。

「実家じまい」は多くの人が遅かれ早かれ向き合うテーマです。まずは「自分たちの家庭は今どの段階にあるか」を確認するところから始めてみてください。